近年、ビジネスの領域では「DX」という言葉をよく耳にするようになりました。
DXはあらゆる領域において議論されていますが、これは法務部門においても同様です。
本記事では、法務DXのメリットや法務DXの推進を妨げる要因を解説します。

法務DXとは?アナログ業務からデジタル活用へ

そもそも法務DXとは、どんな意味かを確認しておきましょう。
DXは「Digital Transformation」の略で、データやデジタル技術を活用して競争優位性のあるビジネスモデルや業務プロセスへ変革することをいいます。このDXを法務領域において行うことを法務DXといいます。

つまり、法務DXとは法務業務でデータやデジタル技術を活用して、業務プロセスや組織の在り方を変革していくことです。

これまで、法務業務というと紙媒体でのアナログの業務が主でした。たとえば法務の中心的な業務である契約書では、契約の締結手続きや締結後の契約書の管理など多くの業務が紙媒体で行われ、大変な手間とコストがかかっていました。
しかし、今ではIT・デジタル技術の進歩によって、このような手間のかかる業務の大部分を削減することができるようになっています。
電子署名サービスや、契約書の作成・管理ツール、相談管理ツールなどを活用することにより、法務業務が効率化されています。

法務DXの3つのメリット

法務DXを進めることによるメリットは、「業務効率化」「ミスやリスクを減らせる」「経営分析ができる」といったことがあります。それぞれ確認していきましょう。

法務の業務を効率化できる

法務DXを進めることによるメリットとして最も大きく、かつ短期的にも効果が期待できるのは、法務業務の効率化です。
契約の締結を例にとると、これまでは

  1. 契約書の印刷
  2. 製本
  3. 片方の当事者の捺印
  4. 相手方への原本の送付
  5. 相手方の捺印
  6. 捺印済み契約書の返送

といった作業をする必要がありました。

しかし、電子署名サービスや電子契約サービスを利用すれば、紙媒体が発生しないので、①契約書の印刷、②製本、④・⑥原本の送付などの作業は削減することができます。③・⑤の捺印も、電子的に行われるため、紙媒体の場合のように原本を社内で回付するなどの手間・時間はかかりません。

また、紙媒体で契約を締結した場合、締結した契約書原本の管理も必要になります。
まず、締結した契約書原本を保管するスペースが必要です。有限なオフィスの一部を確保しなければならず、膨大な取引を行っている会社の場合には保管コストも比例して大きくなります。
ただ保管するだけではなく、必要に応じて該当の契約書をすぐに見つけることができるようにしたり、紛失を防止したりするために、体系的に整理しておくことも必要です。
電子署名サービスや電子契約サービスを利用すれば、そもそも保管すべき原本が存在しないことになるので、これらの手間を完全に削減することが可能です。

ミスやリスクを減らせる

契約の締結の前には契約書案の作成・レビューをしますが、これは法務部門の業務の中心的なものの一つです。しかし、成熟した法務部門であってもたとえば会社や取引の規模によってはレビュー対象の契約書が多く、一つ一つ契約書について細かくレビューしきれないこともあります。その場合、人の目でレビューをする以上、誤字脱字などの形式的な点だけではなく、会社にとってリスクとなるような条文を見逃すミスをしてしまうことも出てきます。
このような契約書案の作成・レビューについても法務DXが進んでおり、AIを活用した契約書のレビューツールが提供されています。
これを使うことで、たとえば自社にとって不利・リスクのある条文の有無や、本来必要な条文が漏れていないかなどを検知したり、修正案を瞬時に検討したりすることができます。
このように法務DXを進めることは、業務の削減だけでなく、法務部門の本来的な業務のパフォーマンスを上げることにも役立ちます。

経営分析もできる

経営分析の観点で、契約の内容をもとに収益の傾向などを分析して経営に役立てたい場合があります。
しかし、このような観点で契約を分析するには、紙媒体の場合は、紙の契約書に記載されている事項を分析・整理して電子データに落とし込んでいく手間がかかります。しかし、契約を電子署名サービスや電子契約サービスで締結した場合、契約の内容が初めから電子的に保存されているので、その内容に応じて体系的に管理することが簡単にできます。

法務DXを妨げる要因は?

法務DXの推進に際しては、思いもよらない障害に遭遇することもあります。そのような法務DXを妨げる要因を見ていきましょう。

社内の理解度が低い

まず、法務DXを妨げる要因としては、法務部門に対する社内や経営層の理解が低いことが考えられます。
法務部門は直接利益を生む部門ではないため、社内的にはいわゆるコストセンターとして捉えられてしまいます。そのため、法務部門に対してさらに一定のコストをかけてDXを進めていくことについて、社内の理解が得られにくく優先度が下げられてしまう傾向があります。
また特に経営層から見ると、法務部門は困ったときに相談に乗ってもらえたり、リスクを指摘してくれたりする頼りになる存在である一方で、法務部門の内部で日々発生している煩雑な業務を担っていることはあまり認識されていないことも多いです。そのために、経営層からも法務DXの推進についてサポートが得られないことがあります。
法務DXを推進するためには、まずは社内の理解を得るために、法務DXを進めることで法務部門だけではなく、会社全体にメリットがあることをアピールしていくとよいでしょう。

アナログでの方法に慣れている

他方で、社内の他部門だけではなく、法務部門自身も法務DXに対して前向きでないことがあります。
法務部門の業務は、いわば職人的な側面があり、法務担当者は長年かけて経験を積んでいく中で法務業務をこなせるようになっていきます。
そのため、デジタル技術が人に代わって法務業務を行うことについて懐疑的に思う法務担当者は少なくありません。
また、長年培ってきた経験の中でアナログでの方法に慣れきってしまっているため、その方法と大きく異なる方法を取り入れることにも抵抗感が強い傾向があります。
法務DXを導入する際は、確かに変化によって短期的には戸惑いがあったり、負担感が強くなったりすることがありますが、最終的には大きな効果が得られるものですので、まずは各法務担当者自身が法務DXによって得られるメリットをきちんと理解できるように、法務部門としての法務DXへの考え方を考えていくことが大事です。

導入後のイメージができない

また、法務DXを導入した結果、どのようなメリットが得られるのかイメージできないということもあるでしょう。
紙媒体での契約がなくなったとしても、結局デジタルで管理することも煩わしく感じるのではないか?AIで契約をレビューしても結局人の目で見ないといけないのではないか?など、感じたことがあることも多いと思います。
しかし、法務DXを導入する際は、無料でデモを見せてもらったり、トライアルで実際に使ってみたりすることもできるので、事前にイメージをつかむことは可能です。

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法務DXの推進により、法務部門の業務は大幅に効率化されます。効率化することで法務部門のコアな業務により尽力することができます。
法務DXの推進には社内の理解を得ることが重要になるので、法務部門でしっかりと理解をして明確な方針を定めたうえで推進をしていきましょう。

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