企業のガバナンスやコンプライアンスがさまざまな場面で問われる昨今、法務部の重要性はますます高まっているといえるでしょう。企業が関与するあらゆる法律的な業務を担う法務部には、どんな人材が適しているのでしょうか。

この記事では、法務部にどのようなスキルが求められるのかを解説します。

法務の業務内容と求められるスキル

法務部の仕事は、他社との契約の際に行うリーガルチェックや、自社のコンプライアンスを守るための社内ルールの見直しなど、その業務は非常に多岐に渡ります。法務部にはどんな業務があり、それぞれどのような法律的な知識が必要になるのか。一つずつ、ご紹介します。

1. リーガルチェックを行える「法律知識」

法務の業務では、リーガルチェックのスキルが必要不可欠です。リーガルチェックとは、契約書を法的な観点からチェックすることです。例えば、ある企業が新たな取引先と契約を結ぶ際に、契約書に違法な条項や抜け漏れがないかどうかを確認することで、トラブルを未然に防ぐ役割を果たします。そのためには、法的な知識が必要です。

2. ビジネス戦略や解決策を提示する「コンサル力」

法務の業務では、法律相談を受けてビジネス戦略や解決策を提案する「コンサル力」も重要です。例えば、企業が新規事業を展開する際に、法務部門は関連する法律や規制を調査し、その事業のリスクや法的な課題を把握します。把握した課題をもとに、法的知識に基づいたコンサルティングを行うことで、会社の成長に寄与することが求められます。

3. 登録や申請など各種手続きを行う「事務スキル」

法務の業務では、登録や申請などの各種手続きを行う「事務スキル」も必要になります。法務部門では、会社の商標登録や特許申請など、様々なビジネス業務における手続きを適切に行わなければいけません。このような手続きは日々発生するため、法的なトラブルが起きない書類作成のスキルが問われます。

4. 法改正にも対応できる「アップデート力」

法務の業務として必要なのは「法的知識のアップデート力」です。法律は常に改正されるため、自社のビジネスに関わる法律も時代とともに必ず変化していきます。このような変化に対応するために、常日頃から情報収集を行い最新の法律知識をアップデートする必要があります。例えば、新規プロジェクトをスタートする際にはその時点におけるプロジェクトに関わる最新の法律を把握し、問題点がないかどうかチェックを行うことになります。

法務としてキャリアアップするには?

ここからは、法務としてキャリアアップするためにどのようなスキルが必要になるのかを解説していきます。

1. 文章を書ける

法務のキャリアアップを目指す際には、文章力が必要です。契約書や規約の作成において読み手に様々な解釈を起こさせない、論理的で明快な文章を書く力を持つことがキャリアアップの基礎になります。実際の契約書や規約を数多く読み込み、文章を書くスキルを磨きましょう。

2. コミュニケーション能力がある

法務のキャリアアップを目指すためには、優れたコミュニケーション能力が必要です。従業員向けのルール作りもあれば、取引先との交渉に必要な書類を作成することもあります。このような状況において、相手方とヒアリングや協議を行う場面が少なからず発生します。社内外いずれも対応できるコミュニケーション能力があるかどうかが、キャリアアップの分かれ道になります。

3. 高いレベルの法律知識がある

法務のキャリアアップを目指すためには、高いレベルの法律知識が必要です。高いレベルの法律知識を有するためには、常に法律の知識を貪欲に吸収し続ける意欲を持つことが大切です。例えば、「ビジネス実務法務検定」といった資格試験を受けて法律知識を強化することもおすすめです。また、「ビジネスコンプライアンス検定」などの学習も有効です。

4. 事業や業界を理解している

法務のキャリアアップを目指すためには、法務の知識だけでなく、事業や業界に対する深い理解が必要です。例えば、契約書を作成し、交渉を行う際には、あらかじめ事業や業界の特性を把握しておくことが重要です。事業と業界の特性を把握するためには、コツコツと学びを積み重ねることが大切です。積極的に情報を収集し、事例を学ぶことで、キャリアアップの道が拓けていくでしょう。

5. 英語力が得意である

法務のキャリアアップを目指すためには、優れた英語力が欠かせません。例えば、グローバル化の進展により、国際的な取引が増加しています。そのような状況下では、英語力があることで、法務の専門家として活躍できる機会が増えるでしょう。

6. ITと個人情報に関する知識が豊富である

法務のキャリアアップを目指すためには、ITと個人情報に関する幅広い知識が必要です。例えば、近年では企業の従業員によるSNSでの個人情報漏洩が問題となっています。法務担当者がITと個人情報に関する法務に詳しくなることで、SNSでの情報漏洩をはじめとするIT関連のトラブルを未然に防ぐことができます。また、実際にトラブルが発生した場合にも、迅速に対応を行うことが可能です。

法務のキャリア形成プラン

法務では、どんな経験ができて、どんなキャリアを積めるのでしょうか。ここからは、キャリア形成のための3つの道をご紹介します。

1. マネジメントを目指す

法務のキャリア形成プランの一環として、マネジメント職を目指すことが挙げられます。具体的には、管理職に昇進して法務部のメンバーを指導・育成します。例えば、新入社員の研修プログラムの立案や、チームの業務効率化の取り組みなどが挙げられます。

2. スペシャリストを目指す

法務のキャリア形成プランとして、スペシャリストを目指すことが挙げられます。スペシャリストは、法的知識を積極的に吸収しながら、企業法務のプロとしての対応力を向上させていきます。スペシャリストとしてキャリアを積むことで、例えば、最新の法律事例や判例を研究し、法的な問題に対して的確な解決策を提案することができます。

また、実際の業務においても、企業のニーズに合わせた法的なアドバイスを行い、リスクを最小限に抑える役割を果たします。さらに、法的な変化に敏感に対応し、常に最新の情報をキャッチアップすることで、揺るぎない法務のスペシャリストとしての地位を社内で確立することができるでしょう。

3. ゼネラリストを目指す

法務のキャリア形成プランとして、ゼネラリストを目指すこともおすすめです。法務部では、あらゆる担当部署の業務に関わるため、大変な面もありますが、同時にやりがいが大きい面もあります。

例えば、営業部門と協力して契約書を作成したり、人事部門と協力して労働法に関するアドバイスを提供したり、さらには経営層からの法的な問題についてのアドバイスや、リーガルリスクの評価を行うこともあります。法的な観点から、俯瞰的に社内の部署を見渡せるゼネラリストを目指すことも、ぜひ検討すべきでしょう。

法務のプロはスペシャリストにもゼネラリストにもなれる

ここまで、法務の業務内容と必要なスキルについて解説しました。法務の大変な点が、実はそのままやりがいにもつながり、さらに会社にいながら、極めて専門性の高い仕事にあたることができて、自身も成長できることが、法務の魅力と言えるでしょう。

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