テクノロジーの進化やグローバル化の加速など、ビジネスの環境は目まぐるしく変化しています。そのような状況において、法務に求められる役割は変わり、新たな視点での組織作りや人材育成が求められるようになっています。これからの時代のビジネスに対応するために、法務はどう進化していくべきなのでしょうか。

ここでは、法務の組織作りで大切なことや、これからの法務担当者に求められるスキルなどについて解説します。

法務の役割は変化している

ビジネスを取り巻く環境変化が加速する昨今、法務の役割も大きく変わりつつあります。法務の役割はどのように変化しているのか、具体的に見ていきましょう。

法務の重要性は増している

従来の法務は契約書の締結をはじめ、社内外の法的なトラブルを未然に防ぐ「守りの法務」が主な役割でした。しかし、イノベーションやグローバル化が加速している昨今、事業環境の変化が著しく、既存のビジネスを続けているだけでは企業の成長が見込みづらい状況となりました。それに伴い、事業の海外展開や新規事業の展開、M&Aなどが盛んになっています。

このような企業戦略や事業展開を法務部の専門知識によってサポートし、利益追求を後押しする「攻めの法務」の重要性が増しているという背景があります。

法務の組織化が求められる理由

海外展開や新規事業などの展開に必要な法務知識で経営判断をサポートしたり、現場に即したアドバイスを行ったりと、法務業務は多様化しています。幅広い専門知識やビジネスへの理解が求められるため、法務を組織化して取り組まなければ対応しきれなくなっています。また、「守りの法務」と「攻めの法務」という新しい役割に即した人材の育成や配置も求められています。

法務の組織作りで大切なこと

「守りの法務」と「攻めの法務」という2つの役割が求められるようになった法務は、どのような組織作りをすべきなのでしょうか。

法務の役割を明確にする

法務には利益追求を後押しする攻めと、企業をさまざまなリスクから遠ざける守りという二つの側面があります。どちらがより重要かというのは企業や状況によってさまざまですが、今必要な役割は何なのかということは、しっかりと定めておくようにしましょう。

法務として達成すべき目標を明確に定めることができれば、それに応じて組織や個人を効果的に成長させていくことができます。

事業部との距離を縮める

法務の仕事を進めていくためには、事業への理解が必要不可欠です。リーガルチェック一つをとっても、事業に対する理解がなければ正しくは行うことは難しいでしょう。

そのためにも、事業部から気軽に相談ができる、法務から気軽に問い合わせをすることができるという関係性を構築しておくことが大切。法務と事業部との距離が縮まれば縮まるほど、法務の価値を高めることができるはずです。

人材を確保・育成する

法務の仕事は幅が広く、また専門知識も必要になるためマンパワー不足に陥りがちです。事実、社内に法務担当が一人しかいない「一人法務」の状態に陥ってしまっている企業も少なくありません。しかし、法務の力を最大限に発揮していくためには、マンパワー不足は絶対に避けなければならないポイントの一つ。中途採用で即戦力を採用したり、若手社員を法務担当として一から育てるなど、人材確保もしっかり行っておくことが大切です。

管理ツールを導入し、業務効率化を図る

人材の採用や育成は、法務担当が抱える課題を解決するために有効な施策であることは間違いありませんが、それだけでは十分とは言えません。状況によっては想定以上に予算や時間が掛かってしまうこともあるでしょう。

そうした事態にも対応できるよう、管理ツールなどを導入することによって、少数精鋭の体制を整えておくことも重要です。

個人の業務効率化と人的リソースの拡大を両にらみで行っておけば、あらゆる状況に対応できる強力な組織がつくれるはずです。

テクノロジーへの理解を深める

テクノロジーの進化は目まぐるしく、ビジネスのデジタル化が加速しています。新規事業で新しいテクノロジーを活用する場合は、その分野に関する法的な知識をもって経営判断をサポートする必要があります。また、自社に新たなシステムを導入する場合も、法務としてリスクなどを検証をする必要があるでしょう。法務組織にツールを導入して業務効率化を図る場合は、どのツールが有効であるか適切に判断し、導入後も十分に活用しなければなりません。このように、法務組織はテクノロジーへの理解を深め、有効活用することも重要になります。

法務担当者に求められるスキル

法務担当者に求められるスキルについて解説します。専門的な知識はもちろんですが、それだけにとどまらない幅広いスキルを求められるのが法務の特徴です。

学び続ける姿勢

法務の主要業務の一つである契約書作成を代表に、この仕事では自社の各事業や取引先について深く理解し、法令や改正情報などの知識をアップデートしていくことが必要不可欠です。

また企業同士の取引や利害関係など、正解のない問題に挑み続ける仕事とも言えるため、現状維持は退化と同義と言っても過言ではないでしょう。

法務の重要性が増している今だからこそ、経営判断をもサポートしていくために、に学び続ける姿勢が求められます。

課題解決能力

法務の仕事は法的なアドバイスをして終わりではない。アドバイスを踏まえ、どうすれば社内の法的課題を解決していけるのか、その答えを専門家として導くことが求められます。

社会や企業は絶えず変化を続けるので、そうした環境の変化にも柔軟に対応しながら、課題を解決していく能力を養っていきましょう。

コミュニケーション能力

法務部は社内外問わず、多くの人とコミュニケーションをとります。事業部や経営者からヒアリングをしたり、取引先と契約交渉をしたり、弁護士に依頼内容を伝えたりと、コミュニケーション能力を発揮しなければならないシーンは数知れません。

加えて、コンプライアンス相談なども担当する場合には、ただ一方的に主張をするだけではない協調性も求められます。

法的な専門知識と思考方法

法令の知識や法的な思考方法など、法律に関する高い専門性は必ず必要です。また知識だけでなく、それらを用いて法的な文書を作成する能力や法令を調査する能力も重要になるでしょう。知識はもちろん、その知識を活用できる柔軟性も持ち合わせている必要があります。

個人と組織を育て、強力な法務部門を完成させよう

法務担当に求められる役割や、その知識やスキルで貢献できる範囲は広がってきており、今では企業成長のキーマンになっていると言っても過言ではありません。だからこそ法務担当個人としての能力は伸ばしつつ、同時に組織としての法務も成長させていくことが大切です。特に管理ツールの導入などは、すぐに取り組める施策なので、足掛かり的にチャレンジしてみるのも良いでしょう。

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