GVA manageの開発にも携わった照山 浩由 様をお迎えし、「法務業務の可視化に基づくコミュニケーションの効果とは」と題して、法務業務の定量化と視覚化の重要性について説明します。法務業務の可視化における効果、日々の日報管理の方法、GVA manageを活用したデータ分析、法務人材の社内評価につなげた経緯などについても言及します。

照山 浩由様
株式会社トレードワルツ
コーポレート本部 マネージャー 

慶応義塾大学法学部大学卒業後、不動産会社を設立経営。
30歳で日本大学法科大学院へ入学。
IT系上場企業2社で法務経験後、前職には参画。
ゼロから法務組織を立ち上げ、法務マネージャーとして12名の組織を管掌。
上場準備会社で改めて法務組織立ち上げのため2023年3月から現職。

山本 俊
GVA TECH株式会社
CEO/弁護士

弁護士登録後、鳥飼総合法律事務所を経て、2012年にスタートアップとグローバル展開を支援するGVA法律事務所を設立、2022年ジュリナビ全国法律事務所ランキングで43位となる。
2017年1月にGVA TECH株式会社を創業。マターマネジメントシステム「GVA manage」、AI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist」やオンライン商業登記支援サービス「GVA 法人登記」等のリーガルテックサービスの提供を通じ「法律とすべての活動の垣根をなくす」という企業理念の実現を目指す。

 照山 浩由 様(以下、照山様):

簡単に自己紹介させてもらいます。現在は、株式会社トレードワルツでお仕事をしています。大学卒業後に不動産のビジネスを始めて、30歳でロースクールに進学しました。
その後、IT系の上場企業2社で法務の経験を積みました。

前職では0から法務組織を構築して、12人のチームを率いるまでになりました。
今年の3月からは、設立3年目のトレードワルツに入社し、コーポレート組織を立ち上げ、組織を作っていくことを目的にジョインしました。

2022年からは法務人材コミュニティ「りーぷら」を立ち上げ、運営しています。
法務人材の未来に光を当てていくために、他社の法務関係者と積極的にコミュニケーションをとっています。

なぜ、法務データを可視化するようになったのか

照山様:

なぜデータを取るようになったのかという経緯からお話させていただきます。私が2019年に前職にあたる株式会社SHIFTに入った当初、経営陣とのコミュニケーションの中で「何をやっているか数字で表現してほしい」ということをお話いただきました。

要するに他者から見ると「法務は何をやっているか分からない」「どうやっているのか分からない」「法務をどう評価していいか分からない」という状況でした。従来の法務業務において定量で表現することはあまりなかったので、戸惑いました。

さらに経営陣からは「現状や改善を数字で見せてくれなければ、評価しませんよ」ということを明確に伝えられました。法務部門は問題が持ち込まれる部署であり、日々一生懸命に多様な業務を遂行しています。
それを数字で表現しなければいけない、ということで困った状況になりました。
これまでは法務業務において数字で表現することはあまり意識していなかったですが、
評価してもらうにはやるしかない、やらざるを終えなかったといったのが正直なところになります。

照山様:

数値化や可視化において、重要なのは「案件管理だけでない」という点です。
本日ご参加の皆様は、プレイヤー層よりもむしろマネジメント層の方が多いのではないかと思います。
業務量、コスト、案件数の推移、稼働状況、労務管理以上の稼働状況を1つ1つ可視化していきました。

まずは、自分にもメンバーにも、業務内容を数値で表現することを習慣化、必須化していきました。
例えば、契約書に関しては、何件対応したかや確認にかかった時間など、具体的な数字を取得し、それらを蓄積したものをデータ化して可視化していきました。
去年の同月との比較や四半期ごとの変動、年間全体の傾向、1日あたりの処理件数など、様々な観点から数字で表現し、これらのデータが日常の業務において習慣化していくことを意識しました。

何をどのように可視化したのか

照山様:

まず、案件についてですが、多くの企業で行われているかと思いますが、案件管理においては「案件管理台帳」を導入し、そこに具体的な数字を記載していることが多いと思います。

いつ、どの部署から、どのような案件が提出されたのか、現在の案件の進捗状況はどの段階にあるのか、法務が担当しているのか、それとも営業部などへの戻し作業が進行中なのか、またはすでに完了した案件なのかなど、様々な情報を「案件管理台帳」に数字を入れ込んでいきました。

応答にかかった時間、業務量も案件と一緒に管理していきました。

メンバー全員の業務量に関しては、各メンバーが取り組んでいる案件の進捗状況を15分単位でExcelに日報として記載してもらっています。

そして、この日報データを案件管理台帳の情報と組み合わせることで、メンバー個々の稼働状況をより具体的に測ることができるようになりました。

次に、業務量からコストを算出するようにしました。コストは業務量を元に逆算しています。例えば、時給3,000円の社員が1日にかかるコストは2万4,000円で、20営業日で48万円、年間で約600万円になります。これを具体的な業務に結びつけると、3,000円の社員が1時間で契約書をチェックする場合、その業務にかかるコストは3,000円となります。

1時間あたりのコストを算出し、コストの側面から業務量を表現しなおす取り組みを実施しました。メンバーとのコミュニケーションの中で、業務時間とコストについて都度、話をすることによって「自分の時間がお金なのだ」ということを意識させていきました。

照山様:

案件推移に関しては、今月の案件数や先月、先々月の件数、前期の同時期の件数などについては、案件管理台帳を通じて確認しています。

稼働状況は、GVA TECH様が提供しているGVA manageを介して一元管理しています。GVA manageが導入される前は、Excelや台帳や資料からメンバーごとの稼働状況を把握していました。

電子契約数についても、1件当たりの対応時間からコストを算出できるようになりました。同時に、電子契約の導入による印紙の削減効果も毎月測定しています。

毎月、コスト削減の具体的な数字を出すことで、法務組織がコストに対して敏感であることを周知しています。

照山様:

私はGVA manageの開発もお手伝いもさせていただいた経緯もあります。

稼働状況の把握は、GVA manageの分析ダッシュボードは、月次の案件数やメンバーごとの対応件数と累計が表現されていますが、以前はもっともっと荒いものを自分で作成していました。

GVA TECHの山本さんに「こういうのが欲しいな」「こういうことをもっとライトにやっていきたいな」とお伝えした際、山本さんも同じような考え方を持っていて、「じゃあこういうものを作ってみました」という風に開発が進んでいったのがGVA manageだと理解しています。

とても見やすいダッシュボードになっております。

可視化したデータをどのように用いたのか

照山様:

最後に、集計したデータの活用方法ですが、「経営陣への活用」「メンバーへの活用」と分けて考えています。
経営陣には「数字で表現しなければ評価しない」と明確に指摘があるため、法務業務の説明を組織の稼働状況の報告として、集計データを活用しています。

例えば、具体的な業務に対してどのような稼働があったか、また目標の進捗状況がどれほどであるかなどに基づいて、法務としての仕事の成果や目標の達成度について報告しています。

これにより、昇給や評価を求める際には、集計データを活用して、業務への貢献や達成した目標に基づいた合理的な根拠を提供しています。
メンバーに対しては、「データは業務改善の元データになっている」ということを説明し、法務業務の品質(Quality)、効率(Cost)、納期(Delivery)の設定根拠としています。

例えば、契約書の対応時間が1件あたり1時間から45分に改善された場合、その変化の背後にある理由や業務プロセスについて議論する根拠として、データを用いています。

QCDをセットして、納期を短くする一方でコストを変えることが難しい場合、クオリティを下げざるを得ない状況が生じることがあります。このような中で、必要十分な判断のリスクマネジメントができているかなどを、データを使い、データを叩きにして業務改善のディスカッションをしていきました。

経営陣に対して見せる武器として、業務の成果を見える化し、その表現の根拠をメンバーに求める関係性が築かれました。「会社に対してしっかり交渉してくるから、その評価の根拠をしっかり照山に提供してね」というようなイメージです。

現在、照山からオーダーされた業務に関しては、正確な数字を提供することが求められています。
メンバーの1時間あたりの稼働状況を完全に把握できる状況が整い、非常に進んだ可視化を備え、高い説明力を持った業務成果が生まれていると考えています。

話は大きくなりますが、メンバーと経営陣という関係性、株式会社であれば、その先に株主が存在することを考えると、前職の法務では、「株主に対して自分たちはこういう仕事をやっています。そのことによって会社はこういうようなリスクマネジメントができています」といった内容まで説明できる状況になったと思います。

今年から新たに非財務情報可視化という業務が始まりました。
非財務情報の可視化は将来的には非財務情報の数値化に発展する可能性があると考えていますので、データを活用していくことができるのではないかという仮説を持っています。

いずれこのあたりも発信して、法務人材の単価向上のための取り組みにつなげていけたら良いなと、個人的には思っています。
一旦、私からのお話は以上とさせていただきます。

GVA TECH 山本 俊(以下、山本) : 

照山様、ありがとうございました。

先ほど照山様からのお話にありましたGVA manage の分析ダッシュボードについて触れさせてください。
GVA manageの分析ダッシュボードは、照山様にもアドバイスいただきながら作成しています。

そもそも法務業務のデータ化や可視化をするにあたり、データだけが自然発生的に浮き出すことはないと思っています。

業務において多岐にわたる作業がある中、日常的なやり取りからデータを収集することが重要だと考え、GVA manageの開発を始めました。
マターマネジメントシステムは、海外では事業部と法務部のやり取りを蓄積し、最終的にデータ化・可視化するシステムとして知られています。
GVA manageは既に多くの企業で導入されています。

タイムリーな案件管理やその瞬間のメンバーへの案件マネジメントが大事だと思いますが、GVA manageでは、その瞬間のデータが自然に蓄積され、最終的にはダッシュボード機能でデータ分析が行えます。

山本:

GVA manageの開発前と開発後、導入企業へのヒアリングから、案件の集計に関して、月末に多くの時間をかけ、更に年に1回はExcelでの集計に時間を費やしている企業があることが分かりました。

メンバー1人あたりの案件対応力がどのぐらいあるか、ということを把握する上でも、人が足りない、多いという判断もしづらいです。
それらは案件数を比較することによって、将来の案件数予測と人員計画を立てるのにGVA manageが役立つとも言っていただいています。

このようにGVA manageでは月別の案件数の推移を確認できるのですが、照山さんであれば、どういう時に活用していきたいと思いますか?

照山様:

コストや時間をただ削減するのは適切ではないと考えています。
適正なコストマネジメントが必要であり、業務を適正な時間とクオリティで提供することを目指して、適正な数字を把握していくことが大事です。

例えば、クオリティの設定を行い、それを実現する上で、マネジメントが「これが適正な数字だ」と主張しても、それはあまり意味を持たないと思います。

データを蓄積することで、そのクオリティを実現するためにかかった平均値や、妥当な積み上げの中での業務時間の適正がより確かに把握できるようになると考えられます。

更に適正な時間を特定の個人に焦点を当てると、個性から脱却できない可能性があるため、各々の時間を均していく上でダッシュボードを使うことも考えています。

山本  : 

業務時間もしっかり取得してくことが重要だと思います。

照山様:

早く進めることは重要ですが、基準や方針がないまま短時間で進めるだけでは、ポイントを落としていけばよいとなり、質が低下し続ける可能性があります。

質の維持と仕事の適正な時間を可視化されたデータを活用して説得し、お金を会社に対して「私たちの仕事はこうであり、会社のリスクを適切にヘッジしマネージしています」という説明ができることは非常に重要です。

質疑応答

山本さん:

みなさまから多くのご質問をいただいていますので、順番にご回答いただきたいと思います。日報に関してのご質問です。

質問① 日報を書いてくれないメンバーも出そうなのですが、その場合どのように徹底されていたのでしょうか?

照山様:

出してくれないメンバーが少なかったので、徹底的な対策は行っていませんが、同じテーマのセミナーで「法務業界ではあまり日報を提出しない」とよく聞きました。

日報は業務報告であり、「これは業務命令なのできちんと報告してください」という
趣旨をよく伝えます。

更に、一般的には仕事が終わった後に書くとされる日報ですが、私は業務としての報告であることから、「日報の作成時間は業務の一環です」と位置づけ、「提出を怠ることは業務を無視することになりますので、それは許容できません」というコミュニケーションを行っていました。

それでも提出しない人には、「日報は評価の根拠資料として利用していますので、それがなければ評価できません」と繰り返し伝えました。

これにより、自分が評価されるために熱心に日報を書いてくれることを期待しています。

また、日報を書くことで文句や詰められることに対する不安が生まれることもあります。日報は改善のための資料として利用すべきであり、「お前はダメだ」といったコミュニケーションではなく、協力して問題を解決する姿勢が大切だと考えております。

質問② 法務業務をデータ化する目的を教えてください。

照山様:

目的は、「法務がどういう仕事を行ったかを数字で説明すること」だと思っています。
これまで言葉で説明することは行ってきたと思いますが、言葉の改善だけでなく、数字で具体的に表現されることが重要だと理解しています。

データを取得しないとこの違いがなくならず、客観性を確保しつつ説明力を向上させるためには、業務をデータ化する必要があると考えています。

質問③ 数値化や数字での表現をメンバーにも習慣化させることはなかなか一苦労だと思います。習慣化させるために何か工夫したことがあれば教えてください。目的が明確にならなければ各担当者に対してマイクロマネジメントを行うことになり、モチベーションにも影響するのではないかと思います。

照山様:

数値の習慣化に関しては、日報を数値で具体的に表現させ、上司や会社とのコミュニケーションの場で何度も共有することが一番効果的だと考えています。

例えば、日報の数値化に焦点を当て、週1または隔週でメンバーとの1on1を行い、数値を中心にトライを促す形でコミュニケーションを取りました。
これにより、数字を使用して業務を進めることが習慣化されました。

目的が明確にならなければ、ただの重箱の隅をつつくやり取りになってしまいます。
「数字を取るのはダメ出しするためではなく、評価するためだ」と何度も強調しました。
メンバーのモチベーションが上がると、「こんな数字も取ってみてください」という提案が出てくるようになり、面白い展開も生まれていたと思います。

山本:

色々な場面があると思うのですが、法務部門の全体ミーティング、1on1などあらゆる場面においてですか?

照山様:

あらゆる場面ですね。やはり数字を使わないビジネスは成立しないと思うので、法務業務は、外部法律事務所ではなく、社内の法律業務を行うビジネスマンであるならば、自分の仕事の成果をいかに数字に表現していくかってことは常にやっていました。
それができていくと、他部門とのコミュニケーションも円滑になっていくと考えています。

質問④ 契約審査や法律相談の依頼部署からの法務部門に対する評価などは数値化されましたか?

照山様:

他部門からはなかったです。
例えば、レスポンスに関しては、どれだけ早く対応したかの集計を行い、他部門に対して「法務メンバーはこれだけ誠実に仕事をしていますよ」という表現を行いました。

他部門からの評価はあまり気にしてなかったかもしれません。
会社が評価するものだと理解していたので、やはり会社が納得する数字を提供していたと考えています。

山本:

これは悩ましいですよね。
クライアントからの評価をアンケートで取りたいという提案が何度か出ましたが、これがストレートな専門家としての評価になるのが本当に適切なのかについて悩みました。専門性の高い仕事を理解してもらうために、聞き方なども工夫しましたが、全てがそれで決まるのは難しいと感じました。

照山様:

その際に1つ方針を決めていて、他部門に対して約束をしていました。

例えば、「法務に対する相談は必ず2営業日で返します」という約束をした場合、
その約束を何%守ったかを数値化しています。
約束を100%守った場合、「こんな誠実な組織はなかなかないだろう」といった主張が出来ていたと思います。

これは業務成果よりも業務姿勢の側面になるかもしれませんが、少なくとも約束をどれだけ守れたかを数値で示すことが、誠実さの表現に繋がるのではないかと考えています。

質問⑤ GVA manageの分析ダッシュボードは具体的にどのような数値と連携して可視化できるのでしょうか?可視化できる数値の度合が気になっています。

山本様:

基本的な数値として、依頼した案件数、契約累計、法律相談累計があります。依頼した案件数については、依頼部署名の登録も可能で、それをそのまま取得しています。

数を数える際には、業務委託契約や機密保持契約(NDA)など、1つの案件に複数の契約書が関与する場合もあります。
このような場合、案件数を基準にするか、契約書の数を基準にするかは選択できます。
現在の機能では、それを組織全体の数字かメンバーごとの数値を見ることができます。

将来的には、自由度が高く、完全にカスタマイズ可能な形で機能を追加していく予定です。これにより、言語の取得や弁護士に相談した案件の数など、様々な要望に対応できるようになります。

次の質問にいきます。

質問⑥ 法務業務の定量化に際して、法務DXや事業部門向けの研修資料作成・実施、難易度別リーガルチェックなどをどのように行っているか教えていただけますか?

照山様:

少し難しいですが、お伝えしやすいところからいきます。
難易度別リーガルチェックでは、前職ではNDAが最も簡単でM&Aが最も難しいものとしていました。
M&Aもかなりの数をこなしていたので、M&Aの件数が溜まってくると、数字が工程ごとに取れていきます。
難易度の定量化や難度別のリーガルチェックの定量化は数をこなせばできていました。

工程をざっくり丸めて1つの業務と見るよりは、工程ごとに切り分けることをやっていたような気がします。

研修資料の作成・実施においては、テーマごとに作成された資料を再利用し、例えばパワーポイント5枚や10枚などの形ものであれば、元の時間を参照しました。

これにより、作業にかかる時間を何時間分と見積ることが可能でした。
法務DXにおいては、「契約審査ツール」と「案件管理ツール」の導入について比較すると、それぞれが異なる影響と効率化の領域が全く異なります。
法務DXの領域では、適正な数字の設定が難しく、主に業務の履歴を蓄積していく傾向がありました。
特定の作業にかかる時間やコストが理解しきれない場合でも、「これだけかかりました。なぜ、そこまでかかるのかはよくわからないけど、かかってしまう以上は仕方ない」と割り切り、それを必要なコストと受け入れていました。

質問⑦ 15分単位の日報では、短い時間に複数の作業が発生することがあります。これらはどのようにして日報に反映させているのでしょうか?

照山様:

たくさんの業務がありますが、NDAを見る、契約審査をする業務について、一連の契約審査業務は『依頼を受け、相談ごとの内容を詰め、契約書チェックして、依頼者に返すまで』の流れがあると考えられます。

個々の業務を細かく挙げるのではなく、例えばNDA審査に15分、30分、1時間といった単位での時間使いをざっくりとした形で日報に記載しました。
イメージがつきにくいかもしれませんが、日報の15分の使い方は、結構ざっくりとした記載の仕方になっています。

質問⑧ 現在、案件管理と共にナレッジ共有をできればと考えております。どれぐらいの情報を可視化データ化して共有することができますでしょうか?

照山様:

案件管理とナレッジに関して、ある企業では主にメール、Excel、共有フォルダを使用して法務業務を遂行しているとします。
途中の質問などのやり取りは、メールに分散します。
Excelで誰がどの案件をいつまでにやるのかを管理し、契約書のバージョン管理、参考資料は共有フォルダで丁寧にやっている状況があるとします。
その分散していたものが、全て1 画面で管理できるようなイメージです。

結論としては、全ての情報が一元に蓄積されて、数字も分析ダッシュボードで取れます。検索でデータを探すことも可能です。

質問⑨ 分析ダッシュボードについて個人ごとの件数については1st担当者でカウントされますか?2nd担当者の件数も反映されますか?

山本:

反映されます。
2ndで行った場合も1案件として、個人の案件数に入ってきます。

質問⑩ 適正な人数構成・法務体制で業務を行ったとしても、遅延が発生することがあると思います。業務の遅延を回避するための対策として、アウトソーシングや派遣人員の導入を検討したことはありますでしょうか?実施した場合、どのような施策を行ったか教えていただけると光栄です。

照山様:

外部の弁護士の先生に助けてもらっていました。
その際になぜ助けが必要なのか?という説明に、まさに数字を使っていました。
繁忙期と非繁忙期の業務遂行差異を明確に示し、そのはみ出しを外部弁護士に依頼する際のコストと処理効果を具体的な数字で説明していました。

発注する内容が明確だったので、スムーズに連携できたと思います。QCD内で社外の弁護士にも何を求めてよいかはクリアにしていました。
弁護士の先生にも「すごく、やりやすいです」と言っていただきました。

質問⑪ 日によっては日報を書くほどでもない、労働時間の8時間使い切れてない日が出てしまう時があると思うのですが、この時はどう対応していたのでしょうか?メール確認みたいな項目を立ててごまかす、しかないのかと…自分だったらそうしてしまいます。

照山様:

法務の業務には文書を読む作業が多いため、理解できます。
何かの業務はされているはずですので、通常通りに行ったことを報告してくださいという考え方かもしれません。

例えば、調べ物をしていました、ミーティングを行っていました、電話対応していました、ミーティング30分だったら、それが今日は5件もありました、などをちゃんと報告してもらいます。流石に、寝ていました。となると困りますが、何かしらの業務に関わったなら、ありのままに書いておく。というイメージです。

ただ資料整理が5時間続いたとなると、「何故、ここまで資料整理していたのか」となるので、このような情報が議論のきっかけになると思います。
このような形でひたすら正直に書いてもらっていました。

質問⑫ 法務業務を数値化し、その結果メンバーの評価や収入に変化がありましたでしょうか? 日常業務を可視化しても、法務の社内での評価が向上しづらいと感じています。 法務業務の社内アピールに関するご意見をお聞かせいただければ幸いです。

照山様:

法務業務の評価と収入が明らかに向上し、特にコーポレート内でずば抜けて優れた成果を挙げました。周囲も驚くほど向上が見られたと思います。

なぜ、それができたかというと、私が「目標設定は会社との契約だ」と勝手に主張し、「契約をきちんと果たしたのだから、評価基準に応じて適切に評価すべきだ」と言い続けたからです。

「評価基準が甘いというなら、それは甘い側の責任だからこちらの関知するところではない」と強調し、「会社との合意をちゃんと守ったのであれば、守った人間をちゃんと評価してください」と主張し続けました。

その結果、毎年10%以上の昇給になりました。
確かに周囲との給与バランスは崩れましたが、私が法務責任者である間は、ずっと昇給させ続けました。ひたすら交渉で戦っていましたね。

また、社内へのアピールですが、他部署に対してあらゆる機会を捉えて法務の仕事を数字で表現することを行いました。
例えば、「契約営業の回転率を上げろ」と営業部がオーダーを受けているとします。
営業の案件を取りやすくするために、法務はどのような提案ができたか、を提案件数として、営業が得られる利益のようなイメージで数字を表現しました。

数字で表現すると、「法務は提案もしてくれて、営業にプラスなことをやってくれるのだ」と、営業部からは評価を受けていたと思います。

サービス提供が前提であり、「私たちは良いサービスしますよ」「これだけの良いサービスができますよ、できました」と繰り返し強調していたと思います。
法務メンバーが率先して、目立たないけれども重要な仕事や目に見えない作業、他の人が嫌がる仕事をしっかりと遂行してくれたことを伝えました。

例えば、前職の法務組織にも在籍していた弁護士も、周りは「弁護士ってすごい」と見ている中で、電話を取ったり、コピーを取ったり、他の人があまりやりたがらないことを率先することで、「さすがだね」と評価は得ていたような気がします。
こういうことも大事だと思います。
メンバーには「最後の砦であるゴールキーパーのようにあろう」と伝えました。
そういう姿勢が大事だと考えています。

質問⑬ 法務相談や契約相談などの受動的な仕事はダッシュボードで数値化できると思います。法務として自発的な施策やひな形の拡充、社内ガバナンスを維持しつつ、効率化を図るルール作成などについてもGVA manageで見える化は可能なのでしょうか?またガントチャートのような機能もありますのでしょうか?

山本:

現状、数字で見える化はできていません。
今後、改修をする予定ではあります。
また、現在はガントチャート機能もありません。

照山様:

山本さんに提案です。
大規模なプロジェクトにおいて、各工程(A工程、B工程、C工程など)にかかる時間を数値化し、これをGVA manageなどのツールを用いて可視化することで、工程ごとの時間配分や全体の進捗状況を見える化と考えております。

更に、紐付けページを一つ作ってもらい、ダッシュボードに反映できるようになると

「自社のM&Aについて入り口は時間がかかるけど、終わったら早いのか」や「PMI全然やれていない」などが見える化し、改善提案の根拠になってくような気がしています。

そのような機能もGVA manageにあるとよいなと思いました。

山本様:

貴重なご意見ありがとうございます。
良いプロダクトを作っていきます!

質問⑭ 日報は自由に記載できると思いますが、数値化のためにはある程度、区分を決めないと統計が出せないのではと思います。どのような統計を出していましたか?

照山様:

ありがとうございます。
日報には2つ記載できる項目がありまして、「定性」と「定量」を明確に分けていました。「定量」に関しては、15分単位である程度決められた項目をプルダウンで選択でき、何を書くか悩ませないようにしてあります。プルダウンの項目は、目標設定に紐づいているものになります。目標設定に紐づいてないものは、「その他」や「自由記載」になります。基本的にはメンバーに割り振った業務の範囲で、時間と何時から何時まで何をやったかをプルダウンで選択します。

「定性」のに関しては、2つに分かれており、「その日の気づきと課題」、「改善したいと感じたポイント」、「営業とぶつかった、むかついた」なども自由に記載してもらっています。
気を付けるべき点は、ただの感想文ではないので、記載した事をどう改善に繋げるのか、を重点的に考えさせていた気がします。

山本:

それではお時間になりましたので、本日は終了させていただきます。
照山 様、本日はありがとうございました。

照山 様 :

ありがとうございました。

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