契約書の内容にミスや漏れがないかを確認し、正しく契約を進めていくために重要なリーガルチェック。しかし中には、なぜ一つひとつ細かくチェックしないといけないのか、過去のデータを使いまわせばいいのではないか、といった疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、リーガルチェックがなぜ重要なのか、そしてリーガルチェックの際に注意すべきポイントや、より良い環境づくりのための方法について、詳しく解説していきます。

契約書リーガルチェックのポイントと注意点

最初に解説するのは、契約書のリーガルチェックの重要性と注意点について。見方によっては手間と費用が必要になるリーガルチェックですが、それを踏まえてなお実施すべき理由があります。

契約書リーガルチェックの必要性とメリット

まずは契約書のリーガルチェックが必要な理由と、実施することによって得られるメリットについて見ていきましょう。

未然にトラブルを防げる

リーガルチェックの最大のメリットは、契約によって発生する可能性のあるトラブルを未然に防げることです。

契約書には取引先とのさまざまな取り決めが記載されますが、想定されるトラブルやその対応法についても記載しておけば、万が一その事象が起こってもスムーズに対応していくことができます。その逆に、トラブルを事前に想定せず、契約書に記載していないようなトラブルが巻き起こってしまった場合、誰がどう責任を取るのかすらもわからず、対応が後手後手になってしまうでしょう。

そのため契約書は内容はもちろん、取引範囲なども正確に把握しなければならず、リーガルチェックは、これらの問題を防ぐ効果的な手段の一つです。

自社の不利益を防げる

契約書には、自社に不利になってしまうような条件が何気なく記載されているケースも少なくありません。仮にリーガルチェックを行わずにそのまま契約を進めてしまった場合、実際に影響が出てきてからその事実に気付いたり、事実に気付いても取り返しがつかなかったりと、さまざまな不利益を被ることになるでしょう。

取引先に過度に有利な条件がある場合、それを見直し、自社が不利益を受けないよう内容を修正することもリーガルチェックの重要な役割です。

また万が一トラブルに発展した際にも、どのように対応していくかを事前に契約書内で定めておくことで、自社の利益を守ることができます。

法令違反を防げる

契約書は取引先同士で合意するのはもちろんですが、そもそも記載されている内容が法令を守ったものになっていなければ意味がありません。

もしも法令違反の内容が記載されてしまっていた場合、法的に罰せられてしまったり、自社の信用を落としてしまったりと、さまざまなデメリットがあります。

さらに法令は定期的に改正されるため、仮に去年まで問題のなかった契約書が、今年から違反になってしまう可能性もゼロではありません。

こうした最新の法令に対応しつつ、正しい契約書として効力を発揮させるためにも、リーガルチェックは必要なのです。

契約書リーガルチェックの注意点

次に、契約書リーガルチェックを実施する際に、特に注意すべきポイントについて見ていきましょう。

誤字脱字や形式的なミスがないかチェックする

当たり前のことであるがゆえに、意外と起こりやすいミスの一つが、誤字・脱字などのケアレスミスです。

メールの文面などで誤字があっても大きなトラブルにはなりませんが、契約書に関してはそうはいきません。誤字によって意味が取り違えられてしまうような場合には、それが原因で自社に不利な契約となってしまう可能性もありますし、そうでなくとも重要書類で誤字をしているという事実だけで、自社の信用度を大きく下げてしまいます。

書かれている内容についてチェックするのは当然ですが、それより以前に、そもそも書いてある文章にケアレスミスはないのかを、必ず確認するようにしましょう。

用語を正しく理解する

契約書特有の用語があります。こうした用語がどういう意味を持っているのか、必ず正しく理解するようにしてください。そうしなければ、取引先との認識の齟齬が生じ、そこからトラブルに発展してしまう可能性があります。

自社で作る契約書ならまだしも、相手方から渡される契約書の中には、馴染みのない言葉が入っているケースも多くあるでしょう。そのときに、大まかにこういった意味だろう、といった形で曖昧にせず、双方の認識をしっかりとすり合わせておくことが大切です。

最新の法令を調査する

法令というのは定期的に改定されるため、去年まで問題なかったことが今年から違法になってしまうことがあります。

例え悪気はなくとも、法令違反をしてしまって元も子もありませんから、契約に関連する法令は必ずチェックし、特に改正されたタイミングなどでは自社にどれぐらいの影響が出るものなのか、しっかり確認するようにしてください。

リーガルチェックでの契約書のチェックポイント

リーガルチェックは、法的な観点から契約書の細部までチェックする必要があります。中でも特に重点的にチェックすべきポイントを紹介していきます。

契約書の目的と内容が合致しているか

自社もしくは取引先が対応する取引内容が、契約書に正しく記載されており、契約書の目的に合致しているかをチェックします。テンプレートを流用した契約書の場合、取引内容が正しく記載されていないケースがあります。また、取引の実態が正しく反映されていないと、取引のフローが不明瞭となり、トラブルが発生した際に適切に対応できなくなってしまうリスクがあります。曖昧な部分があれば必ず依頼主にヒアリングして、正しい取引内容を反映させましょう。

契約書の費用や支払い条件が問題ないか

取引内容に対する費用に相違がないか、また支払い条件に問題がないかをチェックします。認識にズレがあるまま契約書を締結し、トラブルが発生した場合、それを理由に免責されることは基本的にありません。お金にまつわる部分はトラブルにもつながりやすいので、重点的にチェックして認識に相違ない状態にします。

契約書が違法・無効な内容になっていないか

どのような契約を結ぶかは、当事者間で合意すれば原則的に自由ですが、公序良俗や強行法規に反する契約書は無効となるので注意が必要です。民法や労働基準法、下請法など、様々な法律で強行法規が定められています。契約書に盛り込まなければならない項目なども規定されており、その内容が含まれていなければ契約書は無効となってしまいます。業界や取引内容に関わる法令が正しく反映されているかどうか、最新の法令に則っているかをリーガルチェックでは確認しましょう。

リーガルチェックを行うためにやるべきこと

安心して取引を行うために必要なリーガルチェックを行う場合、何から取り組むべきなのでしょうか。リーガルチェックを行うためにやるべきことを解説します。

 リーガルチェックのための社内体制を整備する

まずは、リーガルチェックを行うための社内体制を整えます。一般的には法務部門がリーガルチェックの依頼窓口となりますが、複数のメンバーがいる場合は依頼を受け付ける担当者を一人決めることをおすすめします。そうすることで、誰に依頼すればいいかを他部門が把握しやすくなりますし、対応の抜け漏れを発生しづらくできます。

依頼を受け付けた後の業務フローも整備します。契約書の分野や取引先ごとの担当者を決め、依頼主に取引の背景や目的をヒアリングします。その内容を元に契約書を読み込み、修正点を洗い出した上でフィードバックし、問題のない状態になれば契約締結という流れが基本となります。

リーガルチェックにまつわる業務を効率化するために、法務データ基盤システムなどのツールを導入するのも視野に入れるとよいでしょう。GVAmanageは案件管理をスムーズにできるツールで、契約書のバージョン管理や過去のやり取りの参照を効率的に行えます。このようなツールを活用すれば、進行中の案件管理の手間を減らせますし、新しい案件が発生した際にも過去の契約書を参照しながらリーガルチェックを進行できます。

外部の弁護士にリーガルチェックを依頼する

改正された法令の影響を受ける契約書や専門性の高い案件などが発生した場合は、必要に応じて法律の専門家である弁護士に依頼しましょう。弁護士のリーガルチェックを受けることにより、信頼性の高い契約書を締結できます。また、万が一大きなトラブルに発展した場合の対応もスムーズになります。

ただし、外部の弁護士に依頼する場合は費用が発生する点に注意が必要です。なお、一次チェックは法務部門で行い、最終チェックだけを依頼したり、契約書の一部分のみをチェックしてもらったりすることで、費用を抑えられる可能性があります。

AIを活用してリーガルチェックを行う

AIが自動でリーガルチェックを行うツールも提供されています。契約書をツールにアップロードするだけで、AIが契約書の内容を確認して改善案を提案してくれるというものです。

ただし、ツールによって搭載されている機能は異なります。法令について網羅的に調査する機能があるか、判例や他の契約書との整合性をチェックする機能があるかなど、自社が求める機能が備わっているかどうかを調査してからツールを活用しましょう。また、AIが対応できる契約書の種類は限られている場合があるため、何に対応しているのかを事前にチェックしておきましょう。

「ツールでリーガルチェックを効率化」

リーガルチェックのポイントや注意点について解説してきました。リーガルチェックは、トラブルを未然に防ぐために欠かせない作業です。取引内容や最新の法令を適切に反映した契約書を締結するためにも、抜かりなく行いましょう。

GVAmanageはリーガルチェックの業務効率化に役立つツールです。案件単位でコメントや参考資料などの情報を蓄積でき、契約類型や法律相談類型などを分析することも可能です。導入の工数もかからないので、法務業務の効率化を検討している方はぜひチェックしてください。

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