法務コラム
共有フォルダ/BOX/Googleドライブで法務案件・契約書管理を工夫しつくす方法と、その限界
投稿日:2025.06.03
契約書や法務案件が増えてきて、共有フォルダ/BOX/Googleドライブでの管理に限界を感じていませんか?
「手動でのファイル移管作業が面倒」「必要なファイルが見つからない」「バージョン管理を間違えて入力ミスが起きる」「担当者が変わると案件の詳細が分からず属人化が進んでいる」といった日々の課題が積み重なり、このままの方法ではリスクや非効率が拡大すると不安を抱えている方も多いでしょう。
この記事では、今すぐに実践できる共有フォルダ/BOX/Googleドライブで法務案件・契約書管理を工夫する改善策を紹介するとともに、さらなる業務効率化やリスク軽減、脱属人化を根本から実現する最新の法務案件管理システム「OLGA」について詳しく解説します。現状のやり方を工夫しつつ、次のステップへの道筋も見えてくるはずです。
目次
従来の法務案件ファイル管理の実態とは?
多くの企業において、法務部門は、事業部から寄せられる契約書レビュー依頼などの法務案件に関するファイルを、共有フォルダやクラウドストレージで管理しています。一見すると、これはシンプルで分かりやすい管理方法のように思えます。
しかし、法務担当者が日々の業務で実際に行っている一つひとつの作業を詳細に見ていくと、この方法だけでは徐々に限界が見えてきます。
法務担当者は、これらのファイルを一つひとつ手作業で整理し、所定の場所に保存しなければなりません。
煩雑なファイル整理と保存
事業部の担当者からの依頼は、通常、メールやビジネスチャットを通じて法務部門に送られてきます。これらの依頼には、契約書案や関連資料が添付されていることが多く、法務担当者は、それらを受信した後、社内規定のフォルダ構成に従って手動で保存する必要があります。
(1) 手作業による手間
案件ごとにフォルダを作成し、ファイル名を変更・整理する作業は、時間と労力を浪費する大きな原因です。フォルダ構成の方法は企業によって異なりますが、事業部別、顧客別、契約種類別など、いずれの方法を採用している場合でも、それに合わせてフォルダを作成したり、必要に応じてファイル名を変更したりする必要があり、その手間は決して小さくありません。
法務担当者は、本来、契約書の内容を精査したり、法的リスクを評価したりといった、より高度な業務に時間を割くべきです。しかし、煩雑なファイル整理と保存作業に追われて、本来の業務に集中できないという状況に陥りがちです。
(2) 保存場所の迷子
担当者によってファイルの保存ルールが徹底されていない場合、必要なファイルがどこに保存されたか分からなくなるという問題も発生します。
「あの時の契約書、どこに保存したっけ?」といった事態が頻繁に発生し、必要な時に必要な情報にすぐにアクセスできず、業務効率を著しく低下させます。
バージョン管理の限界
契約書は、レビューの過程で何度も修正が加えられることが一般的です。共有フォルダでバージョン管理を行う場合、ファイル名に日付や版数を手動で付与するなどのルールが必要になりますが、これを徹底するのは容易ではありません。
(1) ヒューマンエラーのリスク
手動でのバージョン管理は、どうしてもミスが発生しやすく、誤って古いバージョンの契約書を使用してしまうというリスクがあります。最悪の場合、古いバージョンの契約書に基づいて契約を締結してしまう可能性もあり、企業にとって大きなリスクとなります。
(2) 最新版の特定困難
複数の担当者が同時に契約書を修正する場合、どのファイルが最新版なのかが非常に分かりにくくなり、混乱を招きます。特に、複数の担当者が同時に修正を行うと、誰がいつどの部分を修正したのかが分からなくなり、最新版の契約書を特定するのに時間を要したり、誤って古いバージョンの契約書を編集してしまうというミスも発生しやすくなります。
過去の類似案件の検索困難
過去に対応した類似の法務案件のファイルは、重要なナレッジの宝庫です。しかし、共有フォルダでの管理では、ファイル名やフォルダ名が担当者に依存している場合が多く、必要な情報を迅速に見つけ出すことが困難です。
(1) 検索性の低さ
ファイル名やフォルダ名だけでは、ファイルの内容を正確に把握することが難しく、結局一つ一つファイルを開いて確認する手間が発生します。これは非常に時間と労力がかかる作業であり、法務担当者の生産性を大きく低下させる要因となります。
(2) 情報の不完全性
運良く探していたファイルが見つかったとしても、過去の対応履歴や判断理由などは、ファイル自体には記録されていません。これらの情報は、メールやチャットなどのやり取りの中に埋もれてしまっていることが多く、必要な情報をすべて確認するためには、これらのツール内でも改めて検索を行う必要があります。
ツールを変えずに最大限工夫する方法:共有フォルダ/BOX/Googleドライブでもここまでできる
「法務案件管理システムの導入は難しいけれど、少しでも効率化したい」という場合には、現在お使いの共有フォルダ/BOX/Googleドライブでも、運用を工夫することで改善が可能です。
フォルダ・ファイル整理のルールを設ける
共有フォルダ/BOX/Googleドライブでは、部門ごと、顧客ごとなど、ファイルの属性に応じてフォルダ構成を整える必要があります。しかし、フォルダ構成が煩雑になりがちなため、ファイル整理のルールを設けることが重要です。
(1) 明確なフォルダ階層
フォルダを階層化し、案件の種類や年度ごとに整理することで、必要なファイルを見つけやすくします。法務部内でルールを統一することが重要で、「部内の誰が見てもどのファイルがどこにあるかがわかる状態」が望ましいです。
たとえば、以下のようなフォルダ階層を作成することが考えられます。
└─ 法務部
└─ 契約書
└─ 2023年度
├─ 〇〇会社
│ ├─ 業務委託契約
│ └─ 秘密保持契約
├─ △△会社
│ └─ 売買契約
└─ 2024年度
├─ □□会社
このように、フォルダを階層化し、案件の種類や年度ごとに整理することで、必要なファイルにたどり着きやすくなります。
(2) 統一された命名規則
ファイル名に規則性を持たせることで、ファイルを検索しやすく、管理しやすくします。
例1:日付+案件名+バージョン
- 20240426_〇〇契約書_v1.0.docx
- 20240510_〇〇契約書_v1.1.docx
- 20240515_〇〇契約書_最終版.pdf
例2:案件名+日付+担当者
- 〇〇契約書_20240426_田中.docx
- 〇〇契約書_20240510_鈴木.docx
- 〇〇契約書_20240515_田中.pdf
これらの例のように、ファイル名に日付や案件名、バージョンなどの情報を含めることで、ファイルの内容が一目で分かり、検索や管理が容易になります。
2-2. 関連情報を集約する
共有フォルダ/BOX/Googleドライブにファイルを格納するだけでなく、関連する情報も集約することで、必要な情報を探しやすくします。
(1) 説明ファイルの作成
ファイルの内容や経緯などを記載した説明ファイルを作成し、同じフォルダに格納します
たとえば、契約書の場合、以下の内容を記載した説明ファイルを作成することが考えられます。
- 契約の目的
- 契約の当事者
- 契約締結に至った経緯
- 契約の重要な条項
- レビュー担当者
- レビュー日
- 修正履歴
- その他参考情報
このような説明ファイルを作成することで、契約書の内容だけでなく、契約締結に至った背景やレビューの経緯なども把握することができ、より深く理解することができます。
(2) リンクの活用
関連するメールやチャットのやり取りへのリンクを貼っておくことで、参照しやすくします。
たとえば、契約書のレビューに関するメールのやり取りが行われた場合、そのメールへのリンクを説明ファイルに貼っておくことで、契約書の内容と合わせて、レビューの経緯もスムーズに確認することができます。
まとめ
これらの工夫を行うことで、共有フォルダ/BOX/Googleドライブでもある程度の効率化は期待できます。しかし、これらのツールは法務案件管理に特化しているわけではないため、情報の一元管理や更なる効率化には限界があります。
従来型フローの構造的な問題点と限界
共有フォルダやクラウドストレージを用いた従来の法務案件ファイル管理は、一見手軽に始められる一方で、様々な構造的な問題を抱えています。これらの問題は、法務部門の生産性を低下させるだけでなく、企業全体のガバナンスにも影響を与えかねません。
ファイルの移管作業の手間
従来のファイル管理では、事業部からメールやチャットで依頼された法務案件の関連ファイルを、法務担当者が手動で保存先のフォルダに移管する必要がありました。
(1) 部門ごと、顧客ごとのフォルダ構成
ファイルを保存する際に、部門ごと、顧客ごとなど、ファイルの属性に応じてフォルダ構成を整える必要があり、案件ごとに手間が発生します。
たとえば、事業部ごとにフォルダを作成し、その中に顧客別のフォルダ、さらにその中に契約種類別のフォルダを作成するという、非常に階層の深いフォルダ構成を採用している企業の場合、法務担当者は、案件を受信するたびに、どの事業部のどの顧客のどの種類の契約かを正確に把握し、該当するフォルダを掘り下げていって、ファイルを保存する必要があります。
(2) ファイル整理の手間
契約書だけでなく、関連する参考資料なども案件ごとに整理して保存する必要があるため、ファイル整理に時間がかかります。
契約書案だけでなく、関連するメール、チャットのやり取り、参考資料なども一緒に保存する場合、これらのファイルを一つひとつ確認し、適切なフォルダに保存する必要があります。ファイルの種類や量が多ければ多いほど、作業時間は増えていきます。
契約書のバージョン管理の煩雑さ
契約書は、修正の度にバージョン管理が必要となりますが、共有フォルダでの管理では、ファイル名の編集を手動で行う必要があり、手間とミスが発生しやすい状況です。
(1) 手動でのファイル名編集
契約書のバージョンが更新されるたびに、ファイル名を編集して管理する必要があり、非常に煩雑です。
万が一この作業を怠ると、どのファイルが最新バージョンなのかが分からなくなり、誤って古いバージョンの契約書を使用してしまうというリスクが生じます。
(2) 命名規則の不統一
取引先との関係によっては、自社の命名規則が守られない場合や、事業部がファイルを変更してしまう場合もあり、バージョン管理が煩雑になります。
たとえば、取引先から送られてくる契約書案のファイル名が自社の命名規則と異なっている場合、先方の命名規則に合わせてやりとりを続けつつ、保管の際は再度自社の命名規則に合わせて保管をするなど、作業が複雑になりがちです。
必要な情報へのアクセスの困難さ
過去の案件情報を参照する場合、必要なファイルや関連するやり取りを探すために、複数の場所を行き来する必要があり、非常に効率が悪いです。
(1) 情報の分散
契約書の内容だけでなく、過去のレビュー担当者がどのような点を問題視し、どのように修正を指示したのかといった情報も参考にしたい場合があります。
しかし、これらの情報は、メールやチャットなどにも残っているため、必要な情報を集めようとすると、複数の媒体でそれぞれ検索を行う必要が発生します。
(2) 経緯の把握の困難さ
ファイルの編集履歴と事業部とのやりとりだけでなく、関連するやり取りの情報も別途必要となる場合があります。
たとえば、契約書の特定の条項が修正された理由を知りたい場合に、修正内容の根拠や考え方を知財部などの別部署や、外部の専門家の意見を参考にしていることがあります。その場合、さらに該当の関係者とのやりとりを探す必要があり、多くの場合は別のやりとりとして存在しています。
このように、従来のファイル管理の方法は、一定のルールの中で運用することは可能ですが、どうしてもミスの危険性や非効率性が潜んでおり、限界があります。
これらの問題は、一時的な工夫で解決できるものではなく、業務基盤そのものの見直しが求められているサインと言えるでしょう。
OLGAがもたらす解決策とメリット
ここまで見てきたように、共有フォルダ/BOX/Googleドライブをベースにした従来の法務案件管理は、一定の業務には対応できるものの、案件数が増え、関係者が増えるほどに、ミスの危険性や非効率といった構造的な課題が浮き彫りになります。
「できる限り工夫はしたが、それでも限界がある」
そう感じたときこそ、法務業務を抜本的に効率化するための一手が必要です。
法務案件を「依頼から保存・検索まで」一元管理でき、法務業務に最適なファイル管理が行えるクラウド型法務案件管理システム「OLGA」をご紹介します。
OLGAを導入することで、事業部は日常的に使い慣れたメールやフォームから簡単に依頼でき、法務部門は情報の転記やファイル整理の手間なく、すべての案件情報を整理・蓄積・活用できる仕組みを構築できます。
ファイルの自動集約と一元管理
OLGAでは、依頼ややり取りの中で、関連ファイルが自動で案件ページに格納されるため、手動でのファイル移管作業が不要になります。
(1) ファイル自動格納
契約書をはじめ、関連する参考資料などがやりとりのなかで自然と案件ページに登録されていく構造になっており、管理のための工数は発生しません。
たとえば、事業部がメールで契約書のレビューを依頼した場合、そのメールに添付されていた契約書案や関連資料は、自然にOLGAの案件ページに格納されていきます。法務担当者は、これらのファイルをわざわざダウンロードして、所定のフォルダに保存するといった手間をかける必要はありません。
(2) 案件情報の集約
案件に関するファイル、やり取り、その他の情報がOLGAの案件ページに集約されるため、案件のページが見つかれば必要な情報すべてにアクセスできます。 従来はそれぞれの場所に保管されていた情報が一箇所で確認できるため、複数のツールを行き来する必要がなく、効率的に業務を進めることができます。
契約書の自動バージョン管理
OLGAは、事業部とのやり取りや自社内での編集の際に、契約書のバージョンを自動で管理します。
(1) バージョンアップ
事業部とのやり取りに契約書ファイルが含まれる場合、都度のバージョンアップが自動で行われます。たとえば、事業部から修正依頼があり、新しいバージョンの契約書が送られてきた場合、OLGAは自動的にバージョンを更新し、過去のバージョンもすべて保存します。これにより、法務担当者は、常に最新のバージョンの契約書を参照できると同時に、過去のバージョンとの比較も容易に行うことができます。
(2) ファイル名編集
ファイル名をバージョンごとに案件ページで編集できるため、システム上のバージョン情報と、相手先とやりとりを行う際の命名規則も合わせて管理することができます。
(3) Word連携
自社側で契約書ファイルを編集する際、案件ページから該当の契約書Wordファイルを立ち上げ、編集して保存するだけで、編集内容が新バージョンとして保存されます。
OLGAは、Wordと連携する機能を備えています。これにより、法務担当者は、OLGAの案件ページから直接Wordファイルを編集し、変更内容を自動的にOLGAに反映させることができます。
案件情報の可視化と検索効率の向上
OLGAでは、案件に関する情報が一画面に集約されるため、必要な情報を効率的に検索し、参照することができます。
(1) 案件ページの充実
OLGAの案件ページには、依頼情報やファイル、やりとりの内容など案件に関するあらゆる情報が集約されています。これにより、法務担当者は、必要な情報を一箇所で確認できるため、複数のツールを行き来する必要がなく、効率的に業務を進めることができます。
(2) 優れた検索性
契約書内のテキスト検索や、取引先などの項目による絞り込み検索など、優れた検索性を有しています。また取引先名や契約書情報による自動の類似検索なども有しており、法務担当者は必要な情報を素早く見つけ出すことができ、過去の類似案件の調査などに要する時間を大幅に短縮できます。
導入企業の声
OLGAで効率化を実現!
実際にOLGAを導入した企業からは、以下のような声が寄せられています。
郵船ロジスティクス株式会社様
毎日1時間半行っていた案件受付業務がゼロになった。
過去の案件ナレッジを活かすことも非常に簡単になり業務キャパシティが格段に向上した。
株式会社エムティーアイ様
年間1万件以上のExcel管理・ファイル格納の工数が0になった。
過去の案件の検索や分析時間が圧倒的に効率化された。
これらの事例からも分かるように、OLGAは、法務部門の業務効率化に大きく貢献します。
まとめ:法務案件管理の効率化を実現するならOLGA
法務業務は、企業の信頼や事業継続に直結する重要な役割を担っています。
ミスの許されない法務の現場において、煩雑さやミスの危険性を持った管理方法を続けることは、企業にとって大きなリスクとなります。
OLGAを導入することで、法務担当者は、ファイルの移管作業やバージョン管理といった煩雑な作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。また、必要な情報に迅速にアクセスできるようになることで、業務スピードが向上し、生産性が向上します。
法務管理システム「OLGA」を導入すれば、煩雑で非効率な作業や属人化された運用から解放されます。案件の受付から保存・検索、ナレッジの共有・再利用までを仕組み化することで、法務部門は単なる管理業務から脱却し、本来の価値ある戦略的な業務に集中できるようになります。
面倒でリスクを伴う日常業務を手放し、より付加価値の高い部門へと変貌する第一歩を踏み出しませんか?チームが一丸となって生産性を高め、新たなステージへ進むための環境を「OLGA」で整えましょう。
詳しくは資料をご覧ください