法務コラム

レガシーシステム化した契約・法務案件管理の課題と、最新システム移行によるメリット解説

投稿日:2025.06.06

法務担当者、法務マネージャー、法務責任者、管理担当役員の皆様、日々の契約・法務案件管理業務において、様々なITリテラシーを持つ社員からの同じ質問への対応、情報不足による依頼者との複数回にわたるやり取り、そして手作業に忙殺されて本来業務に集中できないといった課題に直面していませんか?

現在のExcelやスプレッドシートでの管理に限界を感じ、クリティカルな問題が発生する前に脱却したいとお考えかもしれません。

この記事では、従来の契約・法務案件管理が抱える課題、現在のツールでできる工夫、そしてそれだけでは解決できない構造的な問題点を解説します。

さらに、これらの課題を根本的に解決し、法務DXを成功に導く法務OS「OLGA」がもたらす具体的な解決策とメリットをご紹介します。この記事を読むことで、貴社が抱える課題の解決策を見つけ、次のアクションへの期待感を高めることができるでしょう。

従来の契約・法務案件管理フローの実態

多くの企業で採用されているレガシーシステムやExcelを用いた契約・法務案件管理の一般的な流れと、そこに潜む非効率やリスクを見ていきましょう。

大企業における法務部門は、日々膨大な数の契約書や法務案件を処理しており、その管理は企業の法的リスク低減と事業継続性にとって極めて重要です。しかし、既存のシステムや手動による管理体制では、様々な非効率やリスクが内在しているのが現状です。

法務案件管理と契約管理が“別システム”で分断されている

 

従来のシステムでは、法務案件管理と契約管理が別々のシステムで分断されていることが少なくありません。これにより、以下のような課題が発生しています。

(1) 情報検索に時間を要する

これまでの経緯や関連情報が一か所にまとまっていないため、必要な情報を探し出すのに膨大な時間を費やすことになります。例えば、ある案件に関する過去のやり取り、関連する契約書、進捗状況などを確認するためには、複数のシステムやファイルを行き来しなければなりません。

(2) 意思決定の遅延

情報が分断されていることで、全体像を把握しにくく、効率的な判断が困難になります。これにより、重要な意思決定が遅れ、事業のスピード感に悪影響を与える可能性があります。特に大規模な企業においては、契約締結や案件処理の遅れがビジネスチャンスの喪失や、最悪の場合、事業の停滞を招くこともあります。

(3) 属人化のリスク

特定の担当者しか情報の保管場所や検索方法を知らないといった属人化が進む可能性もあります。担当者が不在の場合や異動があった場合、業務が滞るリスクが高まります。

電話や⼝頭に加え、メールやチャットなどツールを通じた依頼が増えたことで、⾒落としが発生

 

事業部からの法務部への依頼は、電話や口頭に加え、メールやチャットなど多様なツールを通じて行われることが増え、見落としが発生する原因となっています。

(1) 情報管理の複雑化

複数のチャネルから依頼が来るため、法務部門はそれぞれのチャネルを監視し、依頼内容を把握しなければなりません。これにより、情報管理が複雑になり、抜け漏れが発生しやすくなります。

(2) 伝言ゲームの発生

法務部からの質問を依頼者に確認し、法務部に伝達している間に何日も経過してしまい、意思決定が遅れるといった事態も発生しています。これは、依頼者が法務部の求める情報が何であるかを十分に理解していない場合に特に顕著です。結果として、法務部門は本来の審査業務よりも、情報収集や確認に多くの時間を費やすことになります。

(3) 進捗状況の不透明性

依頼者側も、自分が依頼した案件が現在どのような状況にあるのかを把握しにくくなります。これにより、依頼者からの問い合わせが増え、法務部門の負担をさらに増大させるという悪循環に陥る可能性があります。

現⾏システムの古いUIが業務効率を阻害

 

現行システムの古いUIは、業務効率を阻害する大きな要因です。

(1) 生産性の低下

操作方法や機能を習得するまでに長い時間を要するため、新たな利用者がシステムに慣れるまでの期間、生産性が低下します。特に、ITリテラシーが多様な大企業において、直感的でないUIは多くの社員にとって大きなストレスとなり、業務への抵抗感を生み出す原因となります。

(2) 定着しないリスク

システムの使いにくさは、ユーザーの利用を遠ざけ、結果としてシステムが定着せずに形骸化する可能性を高めます。せっかく導入したシステムも、一部のユーザーしか利用しない、あるいは導入以前の非効率な方法に戻ってしまうといった事態に陥ることも珍しくありません。これは、システム投資が無駄になるだけでなく、企業全体のDX推進にも悪影響を与えます。

(3) 情報活用の停滞

UIが複雑であるために、必要な情報へのアクセスが困難になり、システムに蓄積されたデータが十分に活用されないという問題も発生します。過去の案件ナレッジや契約情報をスムーズに参照できないため、同様の案件が発生した際にゼロから対応しなければならず、知識の蓄積が進みません。

従来型フローの構造的な問題点/限界

これまでの契約・法務案件管理におけるレガシーシステムや手動管理の工夫だけでは解決しきれない、構造的な限界や問題点について深掘りします。これらの限界が、なぜ根本的な解決策が必要なのかを法務担当者の課題感と結びつけながら明らかにします。大企業が抱える特有の複雑性や規模の大きさを考慮すると、表面的な改善策では対応しきれない根深い問題が存在します。

社内に分散してしまう

 

従来の法務案件管理と契約管理が別システムで分断されていることにより、関連する情報やファイルが社内の様々な場所に散らばってしまいます。この「情報のサイロ化」は、以下のような深刻な悪影響をもたらします。

(1) 情報探索コストの増大と意思決定の遅延

法務担当者は、ある案件の経緯を把握するために、法務案件管理システム、契約管理システム、メール、チャット、共有フォルダなど、複数の情報源を横断的に確認しなければなりません。

この情報探索にかかる時間と労力は膨大であり、特に緊急性の高い案件においては、迅速な意思決定を阻害する大きな要因となります。経営層からのDX推進のプレッシャーが高まる中、このような非効率な情報探索は、企業全体の生産性低下にも繋がります。

(2) 過去のナレッジ活用機会の損失

過去の類似案件や契約書の情報が分散しているため、必要なときにすぐに参照することが困難です。これにより、過去の経験や知見が組織内に蓄積されず、新たな案件が発生するたびにゼロから調査・検討を行う必要が生じます。

これは、業務の重複や非効率を生み出すだけでなく、法務部門全体の知識レベル向上を阻害し、属人化を助長します。

(3) 情報整合性の欠如とリスク増大

異なるシステムやファイルに情報が分散していると、最新の情報がどこにあるのか不明瞭になり、情報整合性の欠如を引き起こします。

例えば、契約書の最新版がどれか分からなくなったり、案件の進捗状況を正確に把握できなかったりする可能性があります。これは、誤った情報に基づいた判断を招き、コンプライアンスリスクや法的リスクを増大させることにつながります。

様々なチャネルで連絡や依頼がくる

 

電話や口頭に加え、メールやチャットなど、多様なコミュニケーションツールを通じて法務部への依頼が寄せられることで、情報の一元管理が困難になります。この「依頼チャネルの乱立」は、以下のような悪影響をもたらします。

(1) 依頼の見落としや対応遅延

法務担当者は、複数のチャネルを常に監視し、依頼内容を把握しなければなりません。これにより、重要な依頼の見落としや、対応の優先順位付けの誤りが発生しやすくなります。

特に、緊急性の高い依頼が埋もれてしまい、結果として業務の遅延や、時には法的な問題に発展するリスクも生じます。

(2) 情報不足による非効率なやり取り

依頼時に必要な情報が人によって異なるため、法務部からの質問を依頼者に確認し、法務部に伝達している間に何日も経過してしまい、意思決定が遅れるといった事態も発生しています。

依頼者側も、法務部が何を求めているのか明確に理解できないため、不必要なやり取りが頻繁に発生し、双方にとって大きなストレスとなります。これにより、法務部門の本来業務である審査や助言に集中できないという問題が発生します。

(3) 業務の属人化とナレッジ共有の阻害

特定の法務担当者しか特定の依頼チャネルからの情報を受け取っていない場合、その担当者が不在の際に業務が滞るリスクが高まります。

また、依頼内容やその対応に関するナレッジが個人のチャット履歴やメールボックスに散在してしまうため、組織全体でのナレッジ共有が進まず、効率的な業務遂行が阻害されます。

操作⽅法や機能を習得するまで⽣産性が低下、定着せずに形骸化してしまう

 

現行システムの古いUIは、直感的ではないため、新たな利用者が操作方法や機能を習得するまでに長い時間を要し、結果的にシステムが定着せずに形骸化してしまう可能性があります。この「UIの老朽化」は、以下のような深刻な悪影響を及ぼします。

(1) 高い学習コストと初期生産性の低下

新しいシステムを導入しても、その操作が複雑であったり、直感的でなかったりする場合、ユーザーは操作方法や機能を習得するまでに多大な時間と労力を費やす必要があります。この学習期間中は、本来の業務に集中できず、一時的に生産性が低下してしまいます。特に、大企業の社員はITリテラシーが多岐にわたるため、一部のITに詳しい社員だけでなく、すべての社員がスムーズに利用できるようなUIが求められます。

(2) システム定着の失敗と投資の無駄

UIが使いにくいと、ユーザーはシステムを利用することに抵抗を感じ、結局はこれまでの手作業や慣れた方法に戻ってしまう傾向があります。これにより、せっかく導入したシステムも一部のユーザーしか利用せず、全社的な利用が進まない「形骸化」の状態に陥ります。

これは、システム導入にかけた時間、費用、労力が無駄になるだけでなく、法務DX推進へのモチベーション低下にもつながります。

(3) 最新技術の導入障壁

レガシーシステムの古いUIは、しばしば最新のテクノロジーとの連携が困難であることも意味します。例えば、生成AIを活用した契約レビューや、RPAによる自動化などの新しい技術を導入しようとしても、既存のシステムが対応できないために、そのメリットを享受できない可能性があります。これにより、他社との競争において遅れをとるリスクも高まります。

OLGAがもたらす解決策とメリット

これまで見てきた契約・法務案件管理における根深い課題や限界を、法務OS「OLGA」はどのように解決し、どのようなメリットを提供するのか、資料で示されている主要な解決策やメリットを中心に具体的に説明します。

OLGAは、これらの課題を根本的に解決し、法務部門の業務効率化とリスク低減、そして企業全体の生産性向上に貢献します。

案件と契約書を画⾯ひとつで管理

 

OLGAは、法務案件と契約書を一つの画面で一元的に管理できる「法務OS」として機能し、従来のシステムのように案件管理と契約管理が分断されている課題を根本から解決します。この一元管理により、以下のような具体的なメリットが生まれます。

(1) 情報探索時間の劇的な削減

やり取りの履歴、関連する契約ファイル、進捗ステータスが案件単位で紐づけられているため、必要な情報に素早くアクセスできます。複数のシステムやフォルダを横断して情報を探す手間がなくなり、法務担当者は情報検索に費やしていた時間を大幅に削減できます。

(2) 意思決定の迅速化と事業貢献

情報が一元化されることで、案件の全体像を常に把握し、効率的な判断が可能となります。これにより、契約締結や案件処理の迅速化に繋がり、ビジネスチャンスを逃すことなく、事業部門のスピーディーな動きを法務面から強力にサポートできます。

(3) ナレッジの蓄積と活用促進

過去の案件データや契約書が案件ごとに整理されて蓄積されるため、類似案件が発生した際に、これまでの対応履歴や審査ポイント、契約書のテンプレートなどを簡単に参照できます。

これにより、法務部門全体のナレッジが組織内で共有・活用され、業務の属人化を防ぎ、効率的な対応が可能になります。例えば、郵船ロジスティクス株式会社様は、OLGA導入により「過去の案件ナレッジを活かすことも非常に簡単になり業務キャパシティが格段に向上」しました。

事業部からの依頼を⼀元化

 

OLGAは、事業部からの依頼窓口を専用フォームで集約することにより、情報漏れや重複をなくすことができます。この依頼の一元化により、以下のような具体的なメリットが生まれます。

(1) 情報収集の効率化と手間の削減

法務部が質問項目を作成し、依頼時に必要な情報を網羅したフォームを提供することで、依頼者は必要な情報を迷うことなく入力できます。これにより、法務部からの情報確認のやり取りが激減し、法務担当者は依頼内容の確認に費やす時間を削減し、本来の審査業務に集中できるようになります。

(2) 依頼対応のスピード向上

依頼時に必要な情報がすべて揃っているため、法務部がすぐに審査業務に取り掛かることができ、依頼対応のリードタイムを大幅に短縮できます。これにより、事業部門の業務もスムーズに進み、企業全体の生産性向上に貢献します。

(3) 依頼の見落とし防止とコミュニケーションの透明化

多様なチャネルから散発的に来ていた依頼がフォームに集約されることで、依頼の見落としがなくなります。また、依頼の進捗状況がシステム上で可視化されるため、依頼者側も自分の依頼が現在どのような状況にあるのかをリアルタイムで把握でき、法務部門への問い合わせが減少します。

誰でも直感的に使えるシンプルなUI

 

OLGAは、事業部や営業部門もストレスなく使えるシンプルなUI(ユーザーインターフェース)を提供しています。この直感的なUIにより、以下のような具体的なメリットが生まれます。

(1) 学習コストの削減とスムーズな導入

マニュアルなしでも直感的に操作できるデザインを採用しているため、システム導入時の学習コストを大幅に削減できます。これにより、新たなシステムへの移行による一時的な生産性低下のリスクを最小限に抑え、スムーズな導入と利用開始を可能にします。

(2) 全社的な定着と活用促進

使いやすいUIは、ユーザーのシステム利用への抵抗感をなくし、全社的な定着と積極的な活用を促進します。ITリテラシーの異なる様々な社員が、自分の役割で必要な機能を迷うことなく利用できるため、システムが形骸化することなく、その導入効果を最大限に引き出すことができます。

(3) 法務部門の負担軽減と本来業務への集中

直感的なUIは、法務部門がシステムの使い方に関する問い合わせに対応する手間を減らし、本来の法務業務に集中できる環境を提供します。これにより、法務部門全体の生産性向上に貢献します。

導入企業の声

実際にOLGAを導入し、効果を実感している企業の事例を紹介します。自社と同様の課題を持つ企業様は参考にしてください。

郵船ロジスティクス株式会社様

「毎日1時間半行っていた案件受付業務がゼロに!
過去の案件ナレッジを活かすことも非常に簡単になり、
業務キャパシティが格段に向上しました。」

事例をみる

株式会社エムティーアイ様

「年間1万件以上のExcel管理・ファイル格納の工数が0になり、
過去の案件の検索や分析時間が圧倒的に効率化されました。」

事例をみる

まとめ:法務DXを実現するならOLGA

これまでの内容を振り返ると、レガシーシステムや手動での契約・法務案件管理には、情報の分断依頼チャネルの多様化による見落とし、そして古いUIによる業務効率の阻害といった根深い課題が存在し、部分的な工夫だけでは根本的な解決が難しいことが明らかになりました。

法務OS「OLGA」は、これらの課題を抜本的に解決するための最適なソリューションです。案件と契約書を一元管理することで意思決定を迅速化し、事業部からの依頼をフォームで集約することで情報漏れや重複をなくします。また、直感的なUIは誰でもストレスなく利用できるため、全社的な定着と活用を促進します。

OLGAの導入により、法務部門は日々の手作業から解放され、年間1万件以上のExcel管理工数がゼロになった事例や、毎日1時間半かかっていた案件受付業務がゼロになった事例が示す通り、業務効率化とリスク軽減を同時に実現できます。

これにより、法務担当者は本来注力すべき戦略的な業務に集中できるようになり、企業の競争力向上に貢献します。現状維持のリスクを回避し、将来的な法務DXを見据えたシステム構築を検討されているなら、OLGAが貴社の課題を解決し、理想の契約・法務案件管理体制を実現するための強力なパートナーとなるでしょう。

法務業務をどのように変革できるか、その可能性をご確認ください。

詳しくは資料をご覧ください

👉 資料ダウンロードはこちら

・この記事の著者・監修情報

山本 俊

GVA TECH株式会社 代表取締役
GVA法律事務所 創業者

山本 俊

弁護士登録後、鳥飼総合法律事務所を経て、2012年にスタートアップとグローバル展開を支援するGVA法律事務所を設立。
2017年1月にGVA TECH株式会社を創業。AI法務アシスタント、法務データ基盤、AI契約レビュー、契約管理機能が搭載されている全社を支える法務OS「OLGA」やオンライン商業登記支援サービス「GVA 法人登記」等のリーガルテックサービスの提供を通じ「法とすべての活動の垣根をなくす」という企業理念の実現を目指す。

OLGAは
AI・テクノロジーを駆使した“0秒法務”で、
貴社の法務課題を解決します。