法務コラム
メールやフォルダで契約書のバージョン管理を工夫し尽くす方法と、その限界
投稿日:2025.06.03
契約書や法務案件が増えてきて、メールやフォルダでの契約書のバージョン管理に限界を感じていませんか?
「最新の契約書を探すのに、メールフォルダと保存先フォルダを行き来し、最新版がどれかわからず全件確認する工数がかかっている」「編集する度に契約書のバージョンを手動で共有フォルダに格納していて手間がかかっている」「複数タブやフォルダを何度も行き来して変更箇所を探すのに工数がかかっている」といった日々の課題が積み重なり、このままの方法ではリスクや非効率が拡大すると不安を抱えている方も多いでしょう。
この記事では、今すぐに実践できるメールやフォルダでの契約管理を工夫する改善策を紹介するとともに、さらなる業務効率化やリスク軽減、脱属人化を根本から実現する最新の法務案件管理システム「OLGA」について詳しく解説します。現状のやり方を工夫しつつ、次のステップへの道筋も見えてくるはずです。
目次
従来の契約書バージョン管理フローの落とし穴
多くの企業では、契約書の作成・修正、そしてそのバージョン管理を、メールや共有フォルダを中心に行っています。しかし、この方法には多くの課題とリスクが潜んでいます。
最新版がわからないという問題
契約書のやり取りは、多くの場合メールやチャットで行われます。修正のたびに新しいファイルが送られ、どれが最新版なのかわからなくなる、という問題が頻繁に発生します 。
(1) メールの件名や添付ファイル名による混乱
メールの件名や添付ファイル名でバージョンを管理しようとしても、担当者によってルールが異なったり、記載を忘れたりして、結局どれが最新かわからなくなることがあります。
例えば、担当者が「〇〇契約書_最終」「〇〇契約書_確定版」といった曖昧なファイル名を付けてしまったり、件名に「Re: Re: Re: Re: 〇〇契約書」とだけしか残っていなかったりするケースが散見されます。
(2) 共有フォルダでの特定困難
共有フォルダに格納しても、ファイル名が似通っていたり、更新日時が異なっていたりして、最新版を特定するのに時間がかかることがあります。
例えば、「秘密保持契約書_20250321.docx」と「秘密保持契約書_20250322.docx」のように日付が近いファイルが複数存在する場合、中身を確認しないと最新版がどれか判断できない、といった状況です。先方に送付する際に事業部が悪意なくファイル名を変えてしまうと、最新の契約書が検索されない場合もあります
手動バージョン管理の手間とリスク
契約書を修正するたびに、手動でバージョンを管理するのも大きな負担です 。
(1) ファイル格納の煩雑さ
編集する度に契約書のバージョンを手動で共有フォルダに格納していた、というケースが多々あります。一つの案件の往復が複数回あるため、ファイル格納の数も一つの案件で数回、年間では数千件に及ぶことがあります。
(2) ヒューマンエラーとリスク
手動でのバージョン管理は、どうしてもミスが発生しやすく、誤って古いバージョンの契約書を使用してしまうというリスクがあります。最悪の場合、古いバージョンの契約書に基づいて契約を締結してしまう可能性もあり、企業にとって大きなリスクとなります。
変更点の確認に時間がかかる
契約書の変更点を確認する作業も、メールとフォルダ管理では非常に非効率です。
(1) 複数タブやフォルダでの行き来
複数タブやフォルダを何度も行き来して変更箇所を探すのに工数がかかります。
(2) 目視での確認ストレス
目視で過去バージョンとの差分を確認するのにストレスを感じている方が多いです。修正前と修正後のファイルを並べて、目で一つずつ比較する必要があり、時間と手間がかかります。条項の多い契約書の場合、変更点を見落としてしまうリスクもあります。
ツールを変えずに最大限工夫する方法:メールとフォルダでも改善の余地あり
「すぐにシステム導入は難しいけれど、今の状況を少しでも改善したい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そこで、現在お使いのメールとフォルダでも、少しの工夫でバージョン管理の効率を高める方法をご紹介します。
メールの件名と添付ファイル名をルール化する
メールでのやり取りを効率化するためには、以下のルールを徹底することが重要です。
(1) 件名にバージョン情報を明記
「【契約書名】_【取引先名】V1.0」「【契約書名】【取引先名】_V1.1(〇〇修正)」のように、件名を見ただけでバージョンがわかるようにルールを徹底します。修正のたびにバージョンを上げ、「V1.1(〇〇修正)」のように、修正内容も簡単に記載すると、さらにわかりやすくなります。
(2) 添付ファイル名も同様のルールで管理
メールに添付する契約書ファイル名も、件名と連動させたルールで管理します。
(3) 返信する際は最新メールに
古いメールに返信するのではなく、常に最新のバージョンが添付されたメールに返信するように心がけます。
(4) 変更履歴をメール本文に記載する
契約書を修正した担当者は、修正内容の要約をメール本文に記載するようにします。
共有フォルダの階層構造と命名規則を整理する
共有フォルダでの管理を効率化するためには、フォルダ構成と命名規則を整理することが重要です。
(1) 明確なフォルダ構成
「契約書_取引先別」「契約書_年度別_バージョン管理」のように、目的の契約書にたどり着きやすいようにフォルダを整理します。フォルダの階層は深くしすぎず、3階層程度に留めるのがおすすめです。
例えば、以下のようなフォルダ階層を作成することが考えられます。
└─ 法務部
└─ 契約書
└─ 2023年度
├─ 〇〇会社
│ ├─ 業務委託契約
│ └─ 秘密保持契約
├─ △△会社
│ └─ 売買契約
└─ 2024年度
├─ □□会社
このように、フォルダを階層化し、案件の種類や年度ごとに整理することで、必要なファイルにたどり着きやすくなります。
(2) 詳細な命名規則
ファイル名に「【契約書名】【取引先名】【バージョン】【最終更新日】【担当者名】」といった情報を盛り込み、一目で内容と版がわかるようにします。日付は「YYYYMMDD」のように、ソートしやすい形式で記載します。
例1:日付+案件名+バージョン
20240426_〇〇契約書_v1.0.docx
20240510_〇〇契約書_v1.1.docx
20240515_〇〇契約書_最終版.pdf
例2:案件名+日付+担当者
〇〇契約書_20240426_田中.docx
〇〇契約書_20240510_鈴木.docx
〇〇契約書_20240515_田中.pdf
これらの例のように、ファイル名に日付や案件名、バージョンなどの情報を含めることで、ファイルの内容が一目で分かり、検索や管理が容易になります。
(3) バージョン管理用フォルダの作成
重要な契約書については、「【契約書名】_【取引先名】履歴」のようなフォルダを作成し、過去のバージョンを保管します。履歴フォルダ内のファイル名は、「【契約書名】【取引先名】_V1.0_20240401」のように、バージョンと日付を明記します。
(4) アクセス権限の設定
フォルダごとにアクセス権限を設定し、不要な人がファイルを編集したり、削除したりできないようにします。
Wordの機能を活用する
Wordには、バージョン管理に役立つ機能がいくつかあります。
(1) 変更履歴の記録
Wordの変更履歴機能をオンにしておくと、誰がいつ、どこを修正したのかが記録されます。変更履歴を承認したり、元に戻したりすることも可能です。
(2) 文書の比較
Wordの文書比較機能を使うと、2つの文書の差分を自動で抽出できます。変更箇所がハイライト表示されるので、効率的に確認作業を行えます。
その他
(1) Excelでの管理
Excelで契約書の一覧を作成し、契約期間、更新日、担当者などを管理するのも有効です。関数や条件付き書式を使うと、情報を効率的に管理できます。
(2) 情報共有の徹底
契約書の管理方法に関するルールを文書化し、チーム内で共有します。定期的に研修や勉強会を開催し、ルールの遵守を徹底します。
これらの工夫によって、現状のツールでも多少の改善は見込めます。しかし、根本的な解決には至らず、依然として手作業による手間やヒューマンエラーのリスクは残ります。
より効率的で確実なバージョン管理を実現するためには、専用のツールの導入を検討する必要があるでしょう。
従来型フローの構造的な問題点/限界
前述のような工夫を凝らしても、メールとフォルダを中心とした契約書管理には、乗り越えられない構造的な問題点と限界があります。
これらの課題が、なぜ契約管理システムの導入という根本的な解決策を必要とするのか、改めて確認しましょう。
煩雑な検索作業と情報アクセスの遅延:必要な情報にたどり着くまでの無駄な時間
メールとフォルダを何度も行き来して最新版を探したり、過去の修正履歴を確認したりする作業は、法務担当者の貴重な時間を浪費させます。「あの契約書の最新版はどのメールに添付されていたっけ?」「以前の修正内容を確認したいけど、どのファイルだ?」といった疑問解決に時間を取られ、本来注力すべき業務に集中できません。
必要な情報を探すのに、メールフォルダと保存先フォルダを行き来し、最新版がどれかわからず全件確認する工数がかかっている、という状況に陥りがちです。
手動バージョン管理による人的ミスとリスクの増大:常に最新版に注意を払うプレッシャー
契約書にバージョンが発生するたびにファイル名を編集する工数が発生しており、手動でのバージョン管理は非常に煩雑で、常に最新版がどれなのかを意識する必要があります。
ファイル名の付け間違いや上書きミス、共有フォルダでの同時編集など、ヒューマンエラーのリスクが常に付きまといます。その結果、「事業部に誤って古い契約書を送ってしまった!」「先方に不利な条件で契約を結んでしまうところだった…」といった事態を招きかねません。取引先との関係によっては命名規則が自社のルール通りにいかない場合もあります。
複数ファイル比較による確認漏れと非効率:目を酷使し、集中力を低下させる作業
複数タブやフォルダを何度も行き来して変更箇所を探すのに工数がかかります。目視で過去バージョンとの差分を確認するのにストレスを感じている方が多いです。複数のファイルを目で比較して変更点を確認する作業は、非常に非効率で、細かな修正点を見落とす可能性があります。また、長時間にわたる比較作業は、集中力を低下させ、さらなるミスを誘発する可能性もあります。
「重要な変更点を見落として契約してしまったら…」「もっと効率的に変更点を確認する方法はないだろうか…」といった課題感を抱えている方も多いのではないでしょうか。
OLGAがもたらす解決策とメリット
これまで見てきたように、メールやフォルダをベースにした従来の法務案件管理は、一定の業務には対応できるものの、案件数が増え、関係者が増えるほどに、ミスの危険性や非効率といった構造的な課題が浮き彫りになります。
「できる限り工夫はしたが、それでも限界がある」
そう感じたときこそ、法務業務を抜本的に効率化するための一手が必要です。
法務案件を「依頼から保存・検索まで」一元管理でき、法務業務に最適なファイル管理が行えるクラウド型法務案件管理システム「OLGA」をご紹介します。
OLGAを導入することで、事業部は日常的に使い慣れたメールやフォームから簡単に依頼でき、法務部門は情報の転記やファイル整理の手間なく、すべての案件情報を整理・蓄積・活用できる仕組みを構築できます。
ファイルの自動集約と一元管理
OLGAでは、依頼ややり取りの中で、自動で案件ページにファイルが格納されるため、手動での保存先フォルダへの移管作業が0になります。
(1) ファイル自動格納
依頼ややりとりの中で、自動で案件ページにファイルが格納されます 。契約書だけでなく、契約書以外の参考資料なども案件ページに集約され、案件の振り返りが容易になります。
(2) 案件情報の集約
ファイルが適切に自動で蓄積されつつ、やりとりの内容や案件情報も一画面に集約されます。案件ページが見つかればそこにすべての情報が記載されています。
契約書の自動バージョン管理
OLGAは、Wordで編集するだけで自動的にバージョン管理されます。
(1) Word連携と自動反映
自社側で契約書ファイルを編集する際も、案件ページからWordを立ち上げ、編集して保存するだけで編集内容が新バージョンとして保存されます。Word上で保存するだけで、自動で案件ページに反映されます。
(2) 時系列の自動整備と可視化
時系列も自動で整備され、一画面に格納されます。過去のバージョンもすべて案件ページに自動蓄積され、日時も表示されるため、最新版を瞬時に確認することが可能です。上から最新の日時順に表示されます。
(3) ファイル名編集の柔軟性
事業部とのやりとりにファイルが含まれる場合、都度のバージョンアップが可能で、ファイル名もバージョンごとに案件ページで編集できます。
過去のバージョンとの差分を瞬時に把握
OLGAでは、過去のバージョンもすべて案件ページに自動蓄積され、新旧対照表の形式でワンクリックで差分比較することが可能です。
(1) ワンクリックで差分比較
過去のバージョンもすべて案件ページに自動蓄積され、新旧対照表の形式でワンクリックで差分比較することが可能です。
(2) 変更内容の分かりやすさ
元の文書を見比べながら変更内容を確認できるため、変更履歴の見方に慣れていない方でも、内容を簡単に把握できます。
導入企業の声
OLGAで効率化を実現!
実際にOLGAを導入した企業からは、以下のような声が寄せられています。
郵船ロジスティクス株式会社様
- 毎日1時間半行っていた案件受付業務がゼロになった。
- 過去の案件ナレッジを活かすことも非常に簡単になり業務キャパシティが格段に向上した。
- 類似案件を探す手間や依頼の受付方法、ノウハウの共有などの課題をOLGAの法務モジュールで解決し、業務効率化や案件の一元管理を実現できた。
株式会社エムティーアイ様
- 年間1万件以上のExcel管理・ファイル格納の工数が0になった。
- 過去の案件の検索や分析時間が圧倒的に効率化された。
- 案件の管理・ナレッジの共有などの課題をOLGAの法務データ基盤モジュールで解決し、業務省力化に繋げることができた。
これらの事例からも分かるように、OLGAは、法務部門の業務効率化に大きく貢献します。
まとめ:契約管理の効率化を実現するならOLGA
法務業務は、企業の信頼や事業継続に直結する重要な役割を担っています。
ミスの許されない法務の現場において、煩雑さやミスの危険性を持った管理方法を続けることは、企業にとって大きなリスクとなります。
OLGAを導入することで、法務担当者は、ファイルの移管作業やバージョン管理といった煩雑な作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります 。また、必要な情報に迅速にアクセスできるようになることで、業務スピードが向上し、生産性が向上します。
法務管理システム「OLGA」を導入すれば、煩雑で非効率な作業や属人化された運用から解放されます。案件の受付から保存・検索、ナレッジの共有・再利用までを仕組み化することで、法務部門は単なる管理業務から脱却し、本来の価値ある戦略的な業務に集中できるようになります。
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