マターマネジメントシステムとは?

企業内の法務部は、企業活動全体で生じるさまざまな法的課題を解決するために、多くの関係者を巻き込み、多種多様なドキュメントや情報を扱う必要があります。

マターマネジメントシステム(MMS)とは?主な機能やメリットを解説
マターマネジメントシステム(MMS)とは?主な機能やメリットを解説

これら法務部門が取り扱う案件にまつわる情報を一元的に管理するためのソフトウェアが、マターマネジメントシステム(Matter Management System、MMS)です。

マターマネジメントシステムは、企業活動において事業部門等から法務部門に舞い込む、契約書の作成やレビュー依頼・法律相談等を「マター(matter)=案件」とし、1案件ごとに関係する全ての情報を一元管理します。

海外とくに米国では、企業内の法務部門における有用性は評価されて導入も進んでおり、すでに世界全体では2020年に7,7億USDもの市場規模になっており、今後も成長が見込まれる分野とのことです。

参考:https://www.globenewswire.com/en/news-release/2023/01/05/2583703/0/en/Legal-Case-Management-Software-Market-Size-to-Hit-1-91-Billion-Globally-by-2028-with-12-4-of-CAGR-Comprehensive-Report-by-The-Insight-Partners.html

マターマネジメントシステムがもたらすベネフィット

マターマネジメントシステムは、次のような価値をもたらします。

情報の一元化

法務関連情報を1案件ごとに一箇所で管理することができ、その結果、情報へのアクセスが容易になり、重要な決定を迅速に行うことが可能になります。

作業の効率化とコスト削減

現在多くの法務部門は、案件管理のためにメールや Excel、独自システムなど様々な手段を講じて、手間をかけて情報の一元化やステータス更新を手動で行っています。マターマネジメントシステムこれらの作業にかかる手間を削減し、時間を節約することが可能になります。

リスク管理とコンプライアンス

マターマネジメントシステムは、案件の対応漏れや取りこぼしを防ぐことで、法的リスクを管理し法的義務とコンプライアンス遵守を可能にします。

案件履歴の蓄積と活用

マターマネジメントシステムを使い続けることで、案件単位で情報・履歴が蓄積されていき、将来容易にアクセスできるようになります。過去に取り扱った類似案件の情報を参照したい、経緯をしることで新たな契約条件を適切に組み立てたい、といった際に、マターマネジメントシステムに一元化された情報をすぐに参照し、適切な対応をとることができます。

マターマネジメントシステムの主な機能

2023年現在、日本国内にある企業が提供するマターマネジメントシステムは OLGAの法務データ基盤モジュール だけ(当社調べ)ですが、海外には多くのサービスが存在します。

それらのサービスがもつ主要な機能は次のとおりです。

案件ステータス管理

各法務案件の進行状況をリアルタイムで確認できます。これにより、案件がどの段階にあるのか、誰がいまボールを持っているのか、次に何をすべきかをすぐに把握することができます。

ドキュメント管理

法務が取り扱う案件は、1案件に1契約書といったケースだけではもちろんありません。基本契約書と個別契約書、覚書、仕様書や参考資料など、1案件には様々な書類が発生することが常です。それらのドキュメントを1案件単位で保存・管理し、必要なときにすぐにアクセスできます。これにより、必要な情報を探す時間を大幅に節約することができます。

期限管理

各案件の重要な期日を一覧表示し、期限を見逃すことなく案件を進めることができます。

コミュニケーション管理

システム内にログインし、事業部門と法務部門とでコミュニケーションをとることができます。

案件にまつわるやりとりを保存しておくことで、未来の担当者が別案件で「以前の履歴を参照したい」というときに、時系列でやりとりを参照できることができ、法務にとって重要な「対応の一貫性」を担保することができるようになります。

分析機能

どのような法務案件がどれくらいの件数発生しているのかを自動的に集計・分析できます。これにより、リソースの最適配分や人事評価にかかる定量分析のコストを削減できるようになります。

海外のマターマネジメントシステム

マターマネジメントシステムとして開発・提供されている国産サービスは、現時点(2023年6月)では弊社の OLGAの法務データ基盤モジュール だけですが、海外では多くのサービスが存在します。

次にあげるサービスはその一例です。
(説明文は各サービスの紹介サイトの説明文より抜粋・翻訳しました)

Legal Files

当社の訴訟管理システムは、企業法務部門、大学、政府機関の洞察力のある法律専門家に選ばれています。
URL https://www.legalfiles.com/

Mitratech's TeamConnect

Mitratech TeamConnectは、法務部門のニーズを満たすように拡張できます。プロセスを法務業務用の ELM プラットフォームおよびソフトウェア ソリューションに接続します。
URL https://mitratech.com/products/teamconnect/

Onit's Enterprise Legal Management

Enterprise Legal Management (ELM) ソフトウェアは、企業の法務日常業務に関わる法務業務をサポートする法務業務ソリューションです。
URL https://www.onit.com/products/enterprise-legal-management/

Xakia

Xakiaは、社内法務チーム向けのコスト効率が高く使いやすいオンライン法務ワークスペースです。今すぐスプレッドシートから当社のクラウドベースの法律ソフトウェアに移行してください。
URL https://www.xakiatech.jp/

CLM(Contract Lifecycle Management)とMMS(Matter Management System)との違い

CLM=契約ライフサイクルマネジメントシステムは、契約書にまつわる業務を締結前から締結・更新まで時系列で管理するためのソフトウェアです。

CLMとマターマネジメントシステムとの一番の違いは、トリガーとなるのが「契約書」か「案件」か、という点が挙げられます。法務に入ってくる相談は、契約書が全てということはなく、企業によっては新規案件の事前相談や従業員からのコンプライアンス相談窓口など、「契約書を伴わない相談」も多く発生し、それらを含む「法務案件相談」を一元管理ができるのがマターマネジメントシステム、という位置づけになると考えられます。

また、時間軸についても異なります。CLMは契約締結後の後工程(期限管理、更新)もカバー範囲に含みますが、MMSは主に法務が関わる案件の前工程のプロセスをカバーします。

CLM、MMS、それぞれ企業毎に異なるニーズを解決するもので、選定時には「自社にとってなにが重要か」をしっかり見つめ直すことが推奨されます。

マターマネジメントシステム「OLGAの法務データ基盤モジュールとは

マターマネジメントシステム OLGAの法務データ基盤モジュール は、法務案件を適切に管理するために2023年1月にリリースした、(おそらく日本初の)マターマネジメントシステムです。

マターマネジメントシステムに近い環境は、各種クラウドサービスの活用や独自のシステム構築で用意することは可能です。ですがその場合、保守性・可用性・柔軟性の観点からMMS専用のシステムであることが企業に貢献できると考え、OLGAの法務データ基盤モジュール を開発し、すでに先進的な企業様による導入・活用が進んでいます。

OLGAの法務データ基盤モジュール の特長は、事業部はメール/チャットのままで依頼・やりとりが可能、という点です。コミュニケーション管理において、他社システムは事業部門もシステムにログインする必要があるようですが、OLGAの法務データ基盤モジュール は事業部門がわざわざシステムにログインすることなく、従来お使いのメールやチャットツール(TeamsやSlack)のままで、法務部門へ依頼・やりとりを行える点をご評価いただいております。

マターマネジメントシステム(MMS)とは?主な機能やメリットを解説

他に OLGAの法務データ基盤モジュール にどのような機能があり、どのような企業がすでに導入・活用されているか、ぜひこちらをご覧ください。

OLGAの法務データ基盤モジュールの機能

OLGAの法務データ基盤モジュールの導入事例

終わりに

マターマネジメントシステムは、人材不足が叫ばれて久しい法務担当者が、複雑化・多様化する法務案件を適切に管理し、事業活動を後押しするために今後必要不可欠となるソフトウェアです。

日本でもマターマネジメントシステムの考え方が普及し、法務管理の効率化と高度化だけでなく、企業全体のリスク管理とコスト削減にも寄与することを期待しています。

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