薬剤師を経て弁護士に。「医療者としての視点」という唯一無二の付加価値で医療関連ビジネスの最大化に伴走する

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薬剤師を経て弁護士に。「医療者としての視点」という唯一無二の付加価値で医療関連ビジネスの最大化に伴走する

赤羽根秀宜先生(JMP法律事務所)

薬事・ヘルスケア・医療・個人情報(医療関連情報)・薬局関連ビジネスの分野を積極的に取り扱う、JMP法律事務所薬事・ヘルスケア・医療グループ代表弁護士の赤羽根秀宜先生。薬剤師を経て弁護士になるという異色の経歴を持つ赤羽根先生に、医療者だからこその視点で提供する独自のリーガルサービスについてお聞きしました。

医療の現場に身を置いた者として、医療者・医療機関を法的に守りたいと思った

― 赤羽根先生は薬剤師を経て弁護士になられています。どういった経緯だったのでしょうか。

薬学部を卒業後、薬剤師として10年間薬局に勤務しました。
法曹に興味を持ったきっかけは、医療過誤の問題を扱った記事を読んだことです。医療訴訟において医療機関が敗訴した事例を紹介し、医療者が留意するべき点を注意喚起する記事でした。薬剤師の立場として感じたのは、患者さんのメリットを考慮して一所懸命に業務に従事し、医療従事者の目から見れば「やむを得なかったのでは」という事案でも、訴訟に持ち込まれたら敗訴してしまうのか、というショックでした。判決の概要を読んだとき、検察や裁判官が医療システム、そして何より医療の現場をあまり理解していないのではないかと強く感じました。そして、自分にも法曹の世界でできることがあるのではないかと思ったのです。


―弁護士になろうと思った原動力は、不利な立場に置かれかねない医療者・医療機関を法的に守りたいという強い思いだったのですね。

そのとおりです。もちろん、医療過誤の被害者となった患者さんに対する気の毒だという気持ちや、二度と過誤が起きて欲しくないという気持ちがあることは大前提です。ただ、裁判という場に持ち込まれた際の医療者の立場の弱さ、あるいは、医療システムについての法曹の理解が浅いのではないか、そういったものに釈然としない思いを抱き、法曹資格を取るという選択が明確になったのです。


強みは、医療業界の「肌感覚」を知った上でリーガルサービスを提供できること

ーどのような案件を扱うことが多いのでしょうか。
弁護士になってからは、医療・ヘルスケア業界で新規ビジネスを始めたい企業さまのサポートに数多く携わりました。新規参入される企業さまにとって、薬機法や医師法などのコンプライアンス遵守は相当高いハードルになってきますが、医療者出身の弁護士として、薬事領域などにおいて企業さまに伴走できる場面が多かったと自負しています。特に、薬事や医療の分野では、法的な整理はもちろんですが、厚生労働省や業界団体、また医療者の考え方も踏まえて方針を決めることが重要です。医療者である私はその視点も踏まえたアドバイスができるところが強みであると思っています。また、薬事・医療・ヘルスケア、薬局領域の上場企業さまの支援や、他領域の企業さまが薬事、医療、ヘルスケア業界に新規参入される際のご支援なども、幅広くおこなってきました。

ご相談内容は多岐にわたりますが、医薬品、医療機器、また健康食品等の広告表示に関するご相談などがあります。企業さまのマーケティング戦略を十分に咀嚼した上で、行政を始めとしたステークホルダーの温度感を意識しながらアドバイスをさせていただいています。

例えば、新規ビジネスに対して、業界内などで「法的に問題ではないか」といったような議論になることがあります。そうした議論を想定して、まずは、当該ビジネスの正当性、適法性をどうロジカルに立証していくかを検討します。加えて、私がご提供できる付加価値は、その新規ビジネスに対して医療者がどう反応するのか、一般的な医療者にとっていわゆる「ウケ」がいいか悪いか、そのあたりの勘どころを押さえたご提案ができることだと考えています。私自身が医療者として体感してきた、医療業界内のステークホルダーが共有する温度感、倫理観あるいは流儀、のような部分も常に意識しながら、総合的にアドバイスさせていただいています。

「医療者の視点を持った法律家として、唯一無二のリーガルサービスを提供したいですね」(赤羽根秀宜先生)

― ここ最近の、クライアントからのご相談内容の傾向などはありますか。

医療機器の該当性に関するご相談が増えている印象です。医療機器に該当するのか、あるいは厚生労働省への届出等が不要な「雑貨」であるのか、といったご相談です。こうしたご相談が増えている背景には大きくふたつの要因があると考えています。

ひとつ目は、医療業界への新規参入や新規事業の展開が増えていること。

ふたつ目は、2014年11月の薬事法改正で、ソフトウェアが「医療機器プログラム」として規制対象となったことです。この場合、医療機器として進めるのか雑貨で進めるのかは法的な規制もありますが、企業がそのプロダクトで「何をしたいか」にもよって方針を検討しなければなりませんので、そういったことも含めてアドバイスするようにしています。

医療のIT化、DX化、という観点では、電子カルテなど医療情報の取り扱いに関するご相談も増加傾向にあると感じていますし、2020年にオンライン診療が解禁されて以降はオンライン診療をどのような運用にする必要があるのか、オンライン服薬指導との関係はどうなるのか等のご相談も増えています。また、医療情報を扱う上でよく問題となる「3省2ガイドライン*」や、医療や健康に関わるPHR(パーソナルヘルスレコード)に関する相談も増えています。

新規事業のアイデアのご相談を受けることもあります。その際には、できるか/できないか、の単なる二元論ではなく、どのような形態であれば適法に事業を進めることが可能か、という視点で解決策を検討します。「グレーゾーン」という言葉もよく聞かれますが、グレーゾーンだから進める/進めないということではなく、リスクを踏まえて進めるというのも選択肢のひとつであると考えます。ただし、その場合、事業者としては「事業が適法である」という法的解釈をしておく必要がありますし、その解釈に沿った運用も必要になります。私たちは、そのようなリスクの分析、法的解釈、運用等の支援や、場合によってはグレーゾーン解消制度などの活用の支援も行っております。

* 3省2ガイドライン:厚生労働省、総務省、および経済産業省の3省が定めた、医療情報システムを安全に管理するための2つのガイドライン。

医療者・法律家として、「国民の健康な生活を確保」できる支援に携わりたい


― 先生の今後の展望をお聞かせください。
私が弁護士を目指した原点は、医療者の立場や医療行為の価値が法的にもっと評価されるべきだ、という強い思いです。ですから、今後は、単なるビジネスとしてではなく医療者の支援となるような動きをしていきたいと考えています。また、薬剤師でもありますので「国民の健康な生活を確保」(薬剤師法1条)することにも尽力していきたいと思っております。医療や健康に関するビジネスが国民の健康な生活につながるような支援に、法律家として携わることが私の理想です。

もちろん、企業さまからのご相談案件に対しても、より価値あるリーガルサービスをご提供したいと考えています。現在、私たちの事務所では、薬事・ヘルスケア・医療分野に精通した弁護士3名のチーム体制で案件に対応することを原則としています。今後もこうしたチーム体制をより強固なものとし、企業さまのサポート役として邁進していきたいと考えています。


赤羽根秀宜 JMP法律事務所 薬事・ヘルスケア・医療グループ

経歴
栃木県栃木市出身

1997年 薬剤師免許取得
2009年 弁護士登録(第二東京弁護士会)

活動
日本病院薬剤師会顧問
株式会社EMシステムズ 社外取締役
株式会社ソフィアホールディングス 社外取締役
帝京大学薬学部非常勤講師
一般社団法人薬局共創未来人材育成機構 理事
一般社団法人 スマートヘルスケア協会 理事
小児治験ネットワーク中央治験審査委員会委員

薬事・ヘルスケア・医療・個人情報(医療関連情報)・薬局関連ビジネスの分野を積極的に取り扱う。法的リスクの検討だけでなく、薬剤師としての知識・経験及びネットワーク等を活かして、業界の実態・特性・行政の見解、実際の取締状況等を踏まえた対応に定評がある。また、新規ビジネスの相談にも数多く対応し、どのような形態で行えば適法に行うことが可能なのかという視点で解決策の検討をおこなっている。その他、社外役員等として法人の経営等への参画、製薬企業等の医療用医薬品の販売活動に関する審査・監督委員への参加など法人のガバナンスにも注力し、薬事だけでなく幅広く相談を受ける企業顧問も多く扱う。治験・臨床試験にかかる治験審査委員会・倫理審査委員会の委員としての活動も行う。
主な著書に「Q&A 医薬品・医療機器・健康食品等に関する法律と実務」「Q&A 健康・医薬品・医療の広告表示に関する法律と実務」(日本加除出版株式会社)、「赤羽根先生に聞いてみよう 薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A47」(株式会社じほう)、「法律からみる薬剤師の仕事 -これからの業務の法解釈-」(薬事日報社)などがある。

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