2025.05.16
スタートアップの海外進出を成功に導く法務戦略〜現地法人代表が語る、東南アジア展開で直面するリアルなトラブルとその解決策〜
1. なぜ今、スタートアップは東南アジアを目指すのか?
国内市場の成長鈍化や急激な円安は、日本企業、特にスタートアップにとって海外市場への挑戦を加速させる大きな要因となっています。
藤江氏は、投資家からもグローバル展開を期待する声が高まっていると指摘。巨大市場である米国はリソース競争が激しく、欧州は規制が複雑で単一市場とは言えません。
また、中国は保護主義的な傾向や規制変更リスクがあり、参入障壁が高いのが現状です。
こうした中、地理的・心理的にも比較的近く、ITインフラやサービスが発展途上である東南アジアは、日本企業にとって「ちょうど良い」進出先として浮上しています。金子氏も、東南アジア全体を一つの市場と捉える視点の重要性を強調し、チャレンジする価値があるとの見解を示しました。
2. 東南アジア主要5カ国の特徴と注意点~弁護士がリアルに語る各国法務・ビジネス環境~
本セッションでは東南アジア主要5カ国の法務・ビジネス環境について、両弁護士が解説しました。
・タイ: 日系企業が多く最初の足がかりにしやすい一方、外資規制が厳しく、サービス業はタイ資本の過半数が求められる点が課題(藤江氏)。
・ベトナム: IT人材が豊富で開発拠点として魅力的であるが、会社設立プロセスに時間がかかるのがネック。IT企業への外資規制は比較的緩やか(藤江氏)。
・マレーシア: 中間層が厚く、英語も通じやすいが、多民族国家で、市場規模が小さく、テストマーケティングや統括拠点に向いている(藤江氏)。
・フィリピン: 英語が公用語でコミュニケーションが容易な一方、人件費の安さから業務効率化が進みにくく、通信インフラも課題。政権交代による大きな変動が起きるリスクはネック(金子氏)。
・インドネシア: ASEAN最大の市場規模を誇るが、外資規制が厳しく、最低資本金要件などが厳格に存在。行政手続も不安定(金子氏)。
3. 進出後に必ず向き合う「法務の壁」
東南アジア進出後、まず日本と異なる法制度や商習慣に直面します。
藤江氏は、現地法規制への完璧な対応は困難としつつ、「不可逆的なリスク」への対応が最重要だと強調しました。
具体的には、許認可の未取得(刑事罰リスクも)、現地資本導入時の関係構築の失敗(撤退困難リスク)を挙げました。金子氏も、軽視されがちな株主総会や取締役会の手続不備が、後々大きな問題に発展するケースを指摘。
また、ローカルパートナーとの連携では、タイの財閥系企業との協業で技術やサービスを模倣される事例や、フィリピンでの財閥以外のパートナーとの紛争事例が紹介され、契約時の取り決め(合弁解消条件、知財の帰属など)の重要性が改めて示されました。労働法制、契約法務(まずは翻訳で対応しオペレーション優先も一案)、個人情報保護(GDPR型が多いが運用は未成熟な国も)、プラットフォーム規制など、各法分野での注意点も解説されました。
より詳細な解説や、両弁護士の経験に基づくリアルなアドバイスにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひアーカイブ動画をご覧ください。
本セミナーで語られた内容は、貴社の海外戦略を成功に導くための重要なヒントとなるはずです。
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https://gvamanage.com/seminar/startup-legal-conference-07