法務業務においてナレッジ管理は有効で、業務効率化や対応の品質向上に期待できます。しかし、ナレッジ管理はどのように進め、対応していくべきかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、法務のナレッジ管理の概要やメリット、導入の手順などについて解説します。
目次
法務のナレッジ管理とは
ナレッジ管理とは、それぞれの社員が持つ知識やノウハウなどの暗黙知をマニュアル化して共有することで、生産性の最大化やイノベーションを目指す管理手法です。
終身雇用が当たり前ではなくなりテレワークが普及してきた現在、社員の属人的な暗黙知を共有しなければ、組織の競争力が低下してしまうでしょう。また、IT技術が進歩したため情報共有がしやすくなっています。これらの背景から、組織のスキルを底上げして業務効率化が図れるナレッジ管理に注目が集まるようになりました。
法務におけるナレッジ管理では、契約書作成やチェックの方法のノウハウを共有するのが一般的です。契約書のテンプレートやチェックすべき条項、過去のトラブル事例などをあらかじめ知っておくことで、自社が不利にならない契約書作成をスムーズに行うことができ、トラブル発生時にも迅速に解決することに期待できます。
ナレッジ管理の目的とメリット
ナレッジ管理の目的とメリットについて確認していきましょう。
業務効率化
契約書のテンプレートや過去の契約書データなどを共有することで、スピーディに契約書作成業務を行えます。毎回ゼロから契約書を作成したり、誰かに依頼して用意してもらったりした場合、無駄なやり取りや時間が発生してしまいます。関係者がアクセスできる共有フォルダなどにテンプレートをアップしておけば、手間をかけず契約書業務を進行できるようになります。
OLGAの法務データ基盤モジュールのようなツールを導入するのも有効です。過去の条項の修正文やフィードバックの履歴を検索できるツールであれば、ほしい情報をすぐに参照して反映できるため、業務効率化が加速するでしょう。
トラブル防止
過去の契約書を共有することで、トラブルのあった事例や自社が不利にならない条項の書き方などが分かるようになり、トラブル防止につながります。過去の事例を踏まえて契約書を作成できるため、取引先とのやり取りやフィードバックの際の対応も効率化できます。また、顧客対応の履歴を共有しておくと、対応の抜け漏れやミスを防止しやすくなります。
万が一トラブルが発生した際も、過去の事例を参照して適切な対応がとれますし、類似の案件にも対処しやすくなり、法務業務の品質底上げにつながります。
属人化の防止
専門性の高い法務業務は、スキルや経験のある特定の社員に依存する業務の属人化が発生しやすいものです。特定の社員に業務が集中すると、対応スピードが遅くなったり過労につながったりするだけでなく、万が一人材が流出した際には組織として持つべきであったノウハウも失われてしまいます。
法務がナレッジ管理することで、経験豊富な社員以外も業務フローや対応方法を理解できるようになります。また、担当者変更や人材流出があった場合にも、業務の品質を下げることなく対応を続けられます。
組織全体のスキルアップ
それぞれの社員が経験した事例やノウハウ、知識などを共有し、対応方法をマニュアル化することで、法務組織全体のスキルが底上げされます。ツールを導入して過去の契約書ややり取りを参照できるようにしたり、契約文言の解釈や法知識などを共有したりすれば、新人でも効率的に業務を進められるでしょう。ナレッジの共有によって組織全体のスキルアップがなされることで、法務業務の品質向上にもつながります。
ナレッジ管理すべき法務の業務
契約書のテンプレート共有
契約業務において最も時間や手間が掛かる作業の一つが、契約書の作成です。基本的には取引先ごとにオリジナルの契約書を作っていくことが求められますが、契約の内容や取引先の種類によって、ある程度テンプレート化することができるでしょう。こうした種類別の契約書テンプレートを共有すれば、契約書締結業務を大幅に効率化できます。
契約書に関しては、営業部門なども必要とするシーンが多いため、法務部内だけでなく他事業部も参照できる形で共有するのもおすすめです。
契約の交渉の履歴
契約締結時には、取引先との契約交渉が度々発生します。ここでのやり取りの履歴を保存・共有すると、類似案件の対応が効率化でき、万が一トラブルが発生した際も正しく対応できるようになるでしょう。またリアルタイムでやり取りを共有することで、メンバーのスキルアップにもつなげることができます。
交渉の履歴はメールやチャットを用いて行うケースが多いため、これらのツールと連携しておけば情報共有の効率も上がるはずです。
契約書の保管とバージョン管理
締結後の契約書の保管と管理も、法務部の重要な業務です。必要に応じてすぐに過去の契約書を取り出せるよう、データベース化をしてメンバーが常時閲覧できるようにしておきましょう。その際、検索性を向上させるためにパターン別に保存するようにしておくと良いですね。
またバージョン管理をしておけば、担当者変更時でも契約書の作成工程を参照できるようになるため効率的です。
OLGAの法務データ基盤モジュールなら、ナレッジ共有も簡単
GVA TECH株式会社が提供するOLGAの法務データ基盤モジュールなら、契約に関する案件ごとに情報を一元管理できるようになるため、ナレッジ共有を効率的に行うことができます。またメールやチャットなど、既存のツールとも連携できるため、導入コストを低く抑えることができるのも大きなメリットです。
法務のナレッジ管理を導入する手順
法務の業務を効率化し、さまざまなメリットをもたらすナレッジ管理。ここからはそれらのツールを導入する際の手順や注意点について紹介します。
ナレッジ管理の目的と管理対象を決める
ナレッジ管理を行う前に、その目的や管理対象などを明確に定めておくようにしましょう。さまざまなメリットが見込まれるからといって、闇雲に導入を急いでも期待する効果を発揮させることはできません。
特に大切なのが、契約書のテンプレート共有ややり取りの履歴など、ナレッジ管理する対象を決めること。ここが明確になることで、ツールを導入すべきなのか、導入するとしてどのような機能を持ったツールにすべきなのか、といった情報が見えてくるようになります。
導入するツールを検討する
上でも紹介したOLGAの法務データ基盤モジュールのような、ナレッジ管理に有効な各種ツールにはさまざまな種類があり、それぞれ機能や特徴、費用などが異なっています。そのため、自社の目的に合わせて、適切なツールを選ぶことが必要不可欠です。
また導入に際しては、現場の意見をしっかりとヒアリングしておくようにしましょう。導入したツールを実際に使うのは現場であり、現場が欲しい機能が備わっていなければ、コストをかけて導入してもあまり喜ばれないものになってしまうかもしれません。
業務フローを策定する
ナレッジ管理用のツールを導入することで、業務フローが従来と変わってくる可能性があります。そうした事態に対応できるよう、事前に誰が何をすることになるのか、ツール導入後の業務を整理しておくと良いでしょう。
それぞれの業務にあたる各担当者のアクションを計画に、具体的な業務フローに落とし込んでおけば、ツール導入後に混乱が発生してしまうこともありません。
運用を想定する
そもそもナレッジという言葉が「共有」を意味している通り、ナレッジ管理やそのためのツールは、使われてこそ効果を発揮するものです。導入時には、事前に勉強会を開催するなどして、社員全体が導入の意味を理解し、ツールを活用しようという気持ちにさせることが大切。
そうしなければ、ナレッジは共有されない、ツールも使われない、といった事態にもなりかねません。
導入後のフィードバックを行う
初めてツールを導入する場合、最初からすべての機能を完璧に使いこなすのは難しいものです。導入後も定期的に見直しを行い、業務フローに問題がないか、ナレッジの共有は正しくできているか、検証するようにしましょう。
そうしてPDCAを回していけば、より効果的にツールを活用できるようになり、得られるメリットもより大きなものになっていくはずです。
ツールの活用で、ナレッジ管理の効果を最大化しよう
ナレッジ管理の概要とメリット、そしてナレッジ管理をすべき法務の業務とツール導入時のポイントについて解説しました。ツールは導入して終わりではなく、活用されて初めて効果を発揮するものですから、丁寧に準備をした上で実行に移していきましょう。OLGAの法務データ基盤モジュールであれば、導入コストも低く抑えることができるため、初めてのナレッジ管理ツール導入にもおすすめです。
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