法務部におけるワークライフバランスの実現のメリットと方法

近年、さまざまな職場でワークライフバランスが重要視されるようになりました。企業経営において、契約書の締結や法的トラブルなど、法務部の業務は極めて重要ですが、常に多忙になりがちであるため、「働き方改革」を推進させる必要があります。

この記事では、業務が多忙になりがちな法務部で、ワークライフバランスを実現するメリットを紹介します。さらに、法務部でワークライフバランスを実現する方法についても詳しく解説します。

法務部はきつくて多忙な部署なのか?

法務部の業務は、企業内で重要な役割を果たしており、部署で働く従業員には、法的な知識や業務経験などの専門性が必要とされます。これらの専門性を持つ従業員がさまざまな業務に対応しなければならないため、法務部の業務は多忙になりがちです。

法務部の主な業務には、社内のコンプライアンス体制の構築が含まれます。労働基準法など労働法規の遵守を従業員に周知し、快適な労働環境を整備することで、コンプライアンスの穴を事前に塞ぐ効果があります。

また、パワーハラスメントなどのさまざまなハラスメントや、給与や人事異動などの処遇において、従業員から法的な手続きを受けるリスクなどにも対応しなければいけません。

加えて、社外への対応も法務部の重要な業務です。取引先との間で不利な契約を締結しないように、事前に契約書の内容をチェックします。さらに契約締結後も、その内容を管理しなければいけません。

自社が管理している知的財産権がある場合は、知的財産権が侵害されないように、著作権、特許権などを管理し、必要に応じて権利を行使することで、企業の収益性の向上に貢献します。その他にも、他部署の法的トラブルや顧客からの訴訟につながる可能性が高いクレーム対応など、法務部は、会社の利益のためにさまざまな交渉や応訴を行っています。

このような多岐に渡る業務の中で、法務部が多忙になる主な原因として、BtoB(企業間取引)による契約締結の件数が多く、人手が必要な契約書チェック業務の需要が高いことが挙げられます。さらに、海外企業との契約が増加すると、原文を和訳する作業も発生します。

法務部の業務負担を軽減するためには、「契約書チェックの量」と「法務部員の数とのバランス」が適切かをまず検証することが重要です。また、法務関連のツール導入による効率化も検討すべきでしょう。

法務部のワークライフバランスを実現するメリット

法務部でワークライフバランスを実現した場合、法務部で働く従業員だけでなく、企業全体にも多くのメリットをもたらします。ここからは、法務部のワークライフバランスが企業にもたらすメリットをご紹介します。

優秀な人材の流出阻止と人材確保

ワークライフバランスが保たれることで、仕事を継続しやすくなります。離職率を下げることで、企業は優れた人材の流出を防ぐことができます。人材の再雇用に係る採用コストや退職金の支払いコストを削減することも可能です。出産や育児などによって、築き上げたキャリアを諦めざるを得ない従業員も、働きやすくなるでしょう。

さらに、ワークライフバランスを重視する企業は、新たに入社する従業員に対しても、「労働者を大切にする企業」という印象をアピールし、先進企業としてのイメージを与えることができます。その結果、企業は優れた人材を確保しやすくなるでしょう。

労働者のモチベーション向上

仕事とプライベートのバランスが取れている人ほど、仕事に対して目的意識を持って取り組んでいる傾向があることがわかっています。

以下は株式会社ライボが2023年5月に発表した調査結果になります。

つまり、充実した私生活は企業で働く従業員の心身の健康に影響を与え、それが仕事に対するモチベーション向上につながると言えます。

労働生産性を向上させる

ワークライフバランスを整えることで、私生活の充実は従業員のモチベーションを高め、それによりさらに労働生産性が向上する相乗効果が期待できます。

労働生産性は、労働者1人が生み出す成果または労働者1人あたりの1時間当たりの成果と定義されています。ワークライフバランスの導入により、業務の見直しを進めることで、企業の従業員は就業時間内に効率的に担当業務を進めることができます。 

悪しき社内風土の改善

ワークライフバランスを実現するためには、残業を良しとするこれまでの企業の古い体質を改善し、従業員自身の仕事と私生活に対する姿勢や考え方を変える必要があります。社内風土の改革を進めることで、企業は新しいグローバルな価値観を持ち、成長する可能性を高めることができます。

法的リスクの回避

ワークライフバランスの実現は、企業の法的リスクを軽減します。例えば、従業員が働きすぎて疲労ストやレスによる健康問題を抱えることで、労働基準法や労働安全衛生法に違反する可能性があります。また、過労による労働災害が起きた場合、会社は労災保険の支給や損害賠償の責任を負う可能性が高くなります。

ワークライフバランスを実現することで、企業は競争力の低下や顧客からの信頼の喪失など、大きな法的リスクを避けることができるでしょう。

法務部のワークライフバランスを実現する方法

法務部のワークライフバランスを実現するためには、どんな方法があるのでしょうか。ここからは、具体的な対策について紹介します。

人員を増やす

法務部のワークライフバランスを実現するための方法として「人員を増やす」ことを検討しましょう。法務部の人員を増やすことで、従業員一人当たりの業務負荷を軽減できます。さらに、新たなメンバーが加わることで、法務部として新たな業務領域に取り組むことができるはずです。

作業効率化を図る

法務部のワークライフバランスを実現するために、業務を見直し、作業の効率化を図りましょう。

法務部の業務は非常に多岐にわたります。まず、案件ごとに発生するタスクの優先順位を明確にし、優先度の高いものから処理していきましょう。

また、無駄な会議や書類の管理方法を見直し、従業員同士のコミュニケーションを促進することも、作業効率化にとって重要な要素です。

法務ツールを導入する

法務部で効率的に業務を遂行するためには、案件ごとに進捗状況を把握し、専門的な知識を持つ従業員同士がすぐにフォローアップできる体制づくりが重要です。進捗管理ツールやタスク管理アプリを活用することで、タスクの進捗をリアルタイムで把握することができます。

また、法務部のルーティンワークを自動化することで、作業効率を大幅に向上させることができます。ITツールを活用することで、契約書の自動生成や、書類の電子化を実現し、書類の作成と管理にかかるコストを削減することができます。

実際に、不動産契約書の基本契約や業務提携、売買に関するナレッジをデータベース上で体系的に管理し、ワークライフバランスの推進をすすめる企業もあります。

法務ツールが多忙な職場を変革する

企業の法務部でワークライフバランスを実現させるメリットと、その方法について解説しました。

法務部では企業内・企業外での法律に関するさまざまな業務に対応する必要があり、多忙になりがちな部署です。しかし、あまりに多忙になることで従業員の離職率アップや、業務上でのトラブルを誘発することになるため、法務部のワークライフバランスを実現することは企業の経営にとって重要な課題と言えます。

法務部のワークライフバランスを実現する方法はさまざまですが、その中でも法務ツールの導入は人員の増員と比べコストも安価に抑えることができ、単なる業務効率化より高い効果を発揮することが期待できます。

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