本記事では、法務部門に対して事業部門等の他部門から、法務案件を受け付けて管理するためのツールについてご紹介します。
目次
はじめに
100社以上の会社にヒアリングした結果、法務案件の受付管理は6つのカテゴリに分類されていることが分かりました。
- メール(Outlook、Gmail等)
- チャット(Slack、Teams、チャットワーク等)
- プロジェクト管理ツール(Backlog、Jira、Notion、Kintone等)
- ワークフローツール(イントラマート、アジャイルワークス、ジョブカン、バクラク等様々)
- 社内システム(SharePoint等も含む)
- フォーム(Microsoft Forms、Googleフォーム等)
現状のツールの利用方法とメリット・デメリット
それぞれのツールごとの、受付管理方法についてのメリット・デメリットをご紹介していきます。
① メール(Outlook、Gmail等)
- 法務相談用の共通アドレスを作る
- (Excel等で依頼事項を決める)
- 事業部は法務部門に共通アドレスに依頼
- 案件の割り振りはフォルダをメール上に作ってメールを割り振り
- もしくはExcelやスプレッドシートに転記
- 共通アドレスかもしくは自分のアドレスでやりとりや回答する
- 全てのやりとりとファイルがメール上に蓄積される
メリット
- 事業部は業務プロセスが変わらずに使い慣れている
- 全部門、全社員、子会社等も含めて利用が可能
デメリット
- Excelへの手入力転記が煩雑で抜け漏れや記載ミスが起こる
- 契約書のバージョン/関係者とのやりとりの履歴がフォルダやメール等に分散して発見しづらい。退職が重なると発見不能になる。
- 法務担当と事業部との間で回答期限やステータス等の認識の齟齬が多く、事業スピードダウンにつながる
② チャット(Slack、Teams、チャットワーク等)
- 法務相談チャンネルを作る
- (ワークフロー機能で依頼事項整理)
- 事業部が法務部門に相談のメンション
- スレッドにしてその中でやりとり、ファイルのバージョンも入れ込む
メリット
- 事業部は業務プロセスが変わらずに使い慣れている
- 全部門、全社員の利用が可能
- 情報の透明性がある
デメリット
- Slackでの依頼が1つのチャンネルに集中し案件を探す難易度が上がるため、法務担当も事業部も抜け漏れが発生する
- Slackはいわゆるフローのコミュニケーションのツールであるため、検索に適しておらず契約書のバージョン/関係者とのやりとりの履歴を発見しづらい
- 法務担当と事業部との間で回答期限やステータス等の認識の齟齬が多く、事業スピードダウンにつながっている
- 情報の公開・非公開のコントロールができない
③ プロジェクト管理ツール(Backlog、Jira、Notion、Kintone等)
- (全社員がアカウント保有+一定のITリテラシーが前提)
- 事業部門が法務案件をタスクとして作る(依頼事項を予め設計)
- やりとりとかバージョンにタスクのコメント欄等に記載していく
メリット
- 全社に導入がされていたら事業部も使いこなせる
- 情報の集約性が高い
- 情報の透明性がある
デメリット
- 汎用性の高いプロジェクト管理ツールであるため法務案件の特性を捉えきれておらず、契約書のバージョン/関係者とのやりとりの履歴を発見しづらい
- 法務担当と事業部との間で回答期限やステータス等の認識の齟齬が多く、事業スピードダウンにつながっている
- 全社員がアカウントを保有することが前提になっている。
- 情報の公開・非公開のコントロールができない
④ ワークフローツール(イントラマート、アジャイルワークス、ジョブカン、バクラク等様々)
- 法務相談もワークフローで依頼
- 契約書だけで通常法律相談はメールやチャットで行うことが多い
- やりとりはメールやチャットで行う
- 最終成果物はワークフローを通じて回答する
メリット
- 事業部も使いこなせる
- 依頼時から設計された形で情報を集約できる
デメリット
- チャット機能などがないため、やりとりは別ツールに分断されるか、承認と差し戻しを繰り返すことになり煩雑になる。
- 複数関係者を柔軟に巻き込めない。
- ワークフローツールはあくまでも稟議のためのツールであるため、検索に適しておらず契約書のバージョン/関係者とのやりとりの履歴を発見しづらい。
- 法務担当と事業部との間で回答期限やステータス等の認識の齟齬が多く、事業スピードダウンにつながっている。
- 情報の公開・非公開のコントロールができない
- フォームで依頼を受け付ける(依頼事項を予め設計)
- もしくはタスクを立てて依頼する
- やりとりはメールやチャットで行う
- もしくはやりとりとかバージョンにタスクのコメント欄等に記載していく
メリット
- 全社に導入がされていたら事業部も使いこなせる
- 情報の集約性が高い
- 情報の透明性がある
デメリット
- 契約書のバージョン/やりとりの履歴がメール等に分散して探せない。
- 依頼項目や管理項目をシステム部門に頼まないと変更できずにスピードが遅くなる。
- 案件の検索性が圧倒的に悪いため、探す時間が浪費されている。
⑥ フォーム(Microsoft Forms、Googleフォーム等)
- フォームのみで依頼を受け付ける(依頼事項を予め設計)
- スプレッドシート等に転記される、ファイルはGoogledriveか共有フォルダ等
- やりとりはメールやチャットで行う
メリット
- 依頼時から設計された形で情報を集約できる、転記が不要
- 案件の網羅性があり抜け漏れは起きにくい
デメリット
- やりとりはメール・チャットになるため情報が分散する
- 検索性はあまりよくない
現状のよく使われているツールについて解説をしてきました。現状のツールでもうまく使うと最低限の法務案件の受付管理ができることから、まずは現状のツールのポテンシャルを最大限に発揮していくことをお勧めします。
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