法務案件の管理とは、法務部門が事業部等から依頼を受けてから法務案件が完了するまでの間に、
・依頼を受けた案件をリスト化する
・案件の難易度や抱えている案件量に応じて誰が担当するかを決める
・対応する期限を設定する
・ステータスを管理する
ことなどを一般的には言います。
目次
法務案件の管理とは?
法務案件は、完了するまでに法務部門が事業部門に対して確認をしたり、取引先との交渉後に再依頼がきたり、法務部門の上長にチェックをお願いしたりと、誰が案件を担当しているかが目まぐるしく変わる性質を持っています。
一例ですが、具体的な法務案件の管理の流れは以下になります。
- 法務案件の受付(メールやチャット)
- 依頼があった時にExcel等で作られた法務案件管理台帳に転記
- 担当のアサイン
- 契約書の作成・レビュー・法律相談等の案件に対応する
- 最終回答に至るまで、法務部門内や依頼部門とのやりとりに応じて法務案件管理台帳のステータス変更に随時対応する
法務案件管理の煩雑さ
法務案件の案件管理を行うにあたっての煩雑さは、次の3つが複合的にかけ合わさっていることが理由です。
1.法務案件の多様性
法務案件には様々な種類があります。例えば、契約書のレビュー作成、新規事業等の法律相談やトラブルの相談等です。案件の種類が多いことにより、案件の難易度、案件完了までの作業時間やリードタイム、ドキュメントの種類についてもばらつきがあります。
2.依頼部門の多様性
法務案件は、法務部門へ法務部門以外の全社から依頼が舞い込む性質を持っています。そのため、案件依頼のラインが多数になってしまい、やりとりが非常に多数になります。
3.依頼ツールの多様性
10年ほど前からチャットツールが誕生して、チャットツールもSlack、Teams、チャットワークなど多岐に渡るようになってきました。
チャットツールの利用は最近まであまり進んでいない印象でしたが、スタートアップではSlack、大企業でもTeamsでの利用が部分的に進んでいることから、法務部門からすると、メールで依頼してくる事業部門のメンバーもいれば、チャットで依頼してくるメンバーもいて、法務部門が案件を管理するにあたっての抜け漏れが生じている事例が多数見られるようになってきました。
法務案件管理をやらない場合の5つのデメリット
法務案件の一元管理を行わない、または行えない場合は次のデメリットがあると考えられます。
1.案件を誰が対応するかが曖昧になり、放置される
法務案件管理が適切にできてないと、特に法務部門と事業部との間でどちらが案件を持っているかが曖昧になり、お互いに相手方の対応を待つ形になってしまいます。
曖昧になって案件が放置されることによって、本来適切なリードタイムで処理されている案件が長引き、ビジネスのスピードが放置された分落ちることになります。案件の性質によりますが、遅れたことにより本来得られるはずの利益が得られないような状態になることがありえるでしょう。
これは、法務部門だけの問題ではなく全社にとっても損失になるため、大きなデメリットになり得ます。
2.適切なアサインができないため長時間労働の温床となる
法務案件管理が適切に行えていないと、法務責任者が案件の難易度や法務メンバーの案件量を即座に把握することができなくなり、案件の難易度や法務メンバーの案件量に応じた適切なアサインができなくなります。
適切なアサインが出来なくなることによって、本来行うべき案件の難易度を超えた案件を法務メンバーにアサインしてしまったり、大量に案件を抱えている法務メンバーにさらに案件を割り振ってしまったりすることにより、不適切なアサインを受けた法務メンバーの仕事の質が低下したり、大量に案件をアサインされた法務メンバーの長時間労働を招く可能性があります。
これは、案件の質の低下やスピードダウンに留まらず、法務メンバーの体調不良や退職の温床にもなる大きなデメリットです。
3.リモートワークによって案件の対応者や進捗がわからない
コロナ禍によりリモートワークが増加し、今後もリモートワークとリアルを併用していく会社が多くなってきたかと思います。結果、法務部門のメンバーが常に一緒の空間で働くことが少なくなってきているようです。
そのような状況下だと、法務メンバーがどこで行き詰まっているのかが把握できずフォローが遅れたり、事業部から案件の進捗状況を問われた時に(自分が行なってない案件の場合は)他の法務メンバーの状況がすぐに把握できないことから、即答できず確認の手間が発生しています。
フォローが遅れて案件が前に進まなかったり、確認の手間が発生して事業部への回答が遅くなることは大きなデメリットです。
4.事業部に迷惑をかけてしまう
法務部門の顧客は、ある意味では事業部を中心とした法務部門以外の全部門であると言えます。顧客である事業部は、適切な法務アドバイスや契約書の作成・レビューも求めていますが、スピーディーに処理して欲しいという要望も大きいでしょう。
法務案件の管理ができていないことにより、スピードがダウンすることによって大きな迷惑をかけてしまうことになります。
5.タスク整理に時間が取られて業務時間を満足に確保できない
法務案件の管理ができていないと、法務案件についてのタスクやステータスの整理に時間が取られたり、心理的負荷が増加して業務時間を満足に確保できなくなることがあります。
これは、案件の質の低下やスピードダウンに留まらず、メンバーの体調不良や退職の温床にもなる大きなデメリットです。
法務案件管理を行う場合のコスト
法務案件管理を行う方法はいくつかあります。特にコストを試算しながらいくつかの方法についてご紹介をしていきます。
法務部門のメンバーが手入力でリスト化し更新する方法
事業部から依頼を受けた案件を手入力でリスト化し、案件の担当やステータスをタイムリーに手動で更新する方法があります。
この方法は、法務部門のメンバー全員が意識することにより、すぐに実行することができます。しかし、法務の案件は目まぐるしくステータスが変わるため手動でステータスを更新していくことは、法務メンバーにとって大きな心理的な負荷になります。またタスクを随時更新していく手間を考えると、かなりのマルチタスクになるため効率性が大きく落ちることになります。
仮に、依頼を受けた案件のリスト化のための転記作業と手動でのステータス更新について、1案件あたり手間と効率性が落ちる分のインパクトを平均15分と試算すると、月間200件の法務案件に対応している法務部門は月間で3,000分効率性がダウンしていることが考えられます。
3,000分=50時間であり、法務部門の平均コストが1時間5,000円と仮定すると、50時間✖️5000円=毎月のコストは250,000円と試算されます。
毎日ミーティングで確認する方法
法務案件のステータス状況等の共通認識を持つために、案件の状況を毎日の定例や電話メールチャットで確認するという方法も考えられます。
毎日、6名所属している法務部門が30分ほど全メンバーの時間を使って案件のステータス確認をした場合の試算をしてみます。(同様に、法務部門の平均コストは1時間5,000円と仮定)
6名✖️30分✖️20営業日=60時間
60時間✖️5,000円=毎月のコストは300,000円と試算されます。
案件管理専門のメンバーを採用する方法
会社によっては、法務案件のステータス管理、案件のアサインや期限管理のためだけにメンバーを採用するなど、人件費をかけて行なっている場合もあります。
雇用形態や給与にもよりますが、最低でも月に25万円以上はかかっている試算となります。
法務データ基盤システム OLGAの法務データ基盤モジュール による解決
OLGAの法務データ基盤モジュールを活用すると、太字が自動化されます。
1.法務案件の受付(メールやチャット)
2.依頼があった時にExcel等で作られた法務案件管理台帳に転記
3.担当のアサイン
4.契約書の作成・レビュー・法律相談等の案件に対応する
5.最終回答に至るまで法務部門内や依頼部門とのやりとりに応じて随時法務案件管理台帳のステータス変更に対応する
具体的には、OLGAの法務データ基盤モジュールにより下記の流れで案件管理が行われます。
1.法務案件の受付(メールやチャット)
2.依頼があった時にExcel等で作られた法務案件管理台帳に転記
OLGAの法務データ基盤モジュールはフォームやメールによって法務案件の依頼を受け付けることができるため、依頼内容を自動で転記することができます。手動による手間がなくなることに加えて、抜け漏れの軽減、心理的負荷の軽減も実現することができます。
5.最終回答に至るまで法務部門内や依頼部門とのやりとりに応じて随時法務案件管理台帳のス テータス変更に対応する
OLGAの法務データ基盤モジュールは法務部門内でのやりとりや依頼部門とのやりとりに応じて自動でステータスが変更されるため、目まぐるしいステータス変更に手動で対応する必要がなくなることから、この場面でも手動による手間がなくなることに加えて、抜け漏れの軽減、心理的負荷の軽減を実現することができます。
また、法務部門全体やメンバーごとの案件の確認も OLGAの法務データ基盤モジュールe の案件一覧で確認できるため、細かいチェックのミーティングは不要となります。
全社を支える法務OS「OLGA」
AI搭載により、データベース構築・ナレッジ活用・リスク可視化・事業側とのコミュニケーションコストを限りなく“0秒”に近づけることで、組織全体の工数削減と業務クオリティ向上を最大限に支援します。