法務コラム

変更覚書の作成のポイントと効率化の限界

投稿日:2025.06.10

「覚書ひな型」や「覚書テンプレ」を探し、Wordで編集する日々。

法務担当者などの変更覚書の作成業務を行っている方で、変更覚書の作成に時間と手間がかかり、ミスや抜け漏れへの不安を抱えていませんか?法務業務に不慣れな方にとっては、特に不安も大きいことでしょう。現在の手作業に忙殺され、本来の業務に集中できないという方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、変更覚書を作成する際のポイントを解説し、変更覚書の作成作業を効率化する「OLGA」というツールについてご紹介します。

OLGAを使えば、変更覚書作成の効率化が実現し、本来注力すべき業務に集中できるようになります。毎日忙しくて、変更覚書の作成作業を、楽にしたい、効率化したい、と考えている方必見です!

変更契約書(変更覚書)を作成する際のポイント

まず、変更覚書を作成する際のポイントを確認しましょう。

タイトル

 

「変更契約書」や「変更覚書」のように、どのような書面であるかを明記します。「〇〇の変更に関する覚書」や「〇〇に関する変更覚書」といった表現も考えられます。

対象となる契約を特定する

 

誰と誰の間のどの契約について、変更覚書を締結するのかを明確にします。例えば、頭書きにおいて次のように記載して明確にします。

株式会社●●(以下「甲」という。)と●●株式会社(以下「乙」という。)とは、甲乙間の●●年●●月●●日付け「●●契約書」(以下「原契約」という。)につき、次のとおり契約変更の覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。

変更内容を明確にする

 

この点が一番重要となります。1-2で特定した契約について、何をどのように変更するのか、具体的かつ明確に記載します。変更内容はケースバイケースですが、例えば次のようなものが考えられます。

・条文をまるっと削除する

例:第●条を削除する。

・条文を追加する

例:第●条として、新たに以下を追加する。

・売買金額、納期、有効期間などを変更する

例:第●条に定める「売買金額」を以下のとおり変更する。

例:第●条に定める「納期」を以下のとおり変更する。

例:第●条に定める「有効期間」を以下のとおり変更する。

効力が発生する日を明確にする

 

1-3で定めた変更内容について、いつから変更するのかを明確にします。例えば、次のように記載して明確にします。

本覚書の効力は、●●年●●月●●日より発生する。

その他の事項

 

以上の他、必要な定めを記載します。例えば次のようなものが考えられます。

・定義:

元の契約書で使用されている用語と、変更契約書(変更覚書)で使用する用語が同じ意味であることを明確にすることがあります。

例:本覚書で使用する用語の意味は、本覚書に特段の定めがある場合を除き、原契約で使用する用語の意味に従うものとする。

・変更契約書(変更覚書)の効力:

変更する書面なので当たり前ではありますが、元の契約書で定めた事項と、変更契約書(変更覚書)で定める事項に矛盾が生じる場合に、どちらの定めが優先するかを明確にすることがあります。

例:本覚書の規定と原契約の規定が矛盾又は抵触するときは、本覚書の規定が優先されるものとする。

・変更契約書(変更覚書)に記載のない事項の取扱い:

変更契約書(変更覚書)に記載されていることは、当事者間の契約内容のほんの一部であるため、記載されていない他の事項について、引き続き元の契約が適用されることを明確にすることがあります。

例:本覚書において規定された事項以外の事項については、原契約に定めるとおりとする。

従来の変更覚書作成フローの実態と課題

多くの企業で採用されている、手作業と既存のツールを用いた変更覚書の一般的な流れと、そこに潜む非効率性やリスクを見ていきましょう。

一般的な変更覚書の作成フロー

 

変更覚書が必要になった場合、一般的には次のようなフローで作成されます。

①事業部門等が法務部門等に作成依頼

②法務部門等が事業部門等に変更内容を確認

③法務部門等にて変更覚書を作成

④事業部門等にて作成された変更覚書を確認

※修正点がある場合、①~④の繰り返し

これらを経て、変更覚書が完成します。

一般的な業務フローが有する課題

 

(1)作業時間の長さ

従来、変更覚書を作成する際には、まず事業部門から法務部門に覚書作成の依頼を行います。このとき、両者間でどの契約のどの部分をどのように変更したいのかといったことをすり合わせます。

その後、法務部門において、作成したい覚書のひな型や類似案件を探し、それをダウンロードして編集する方法が一般的でした。変更覚書には、金額変更や納期変更など複数の種類が存在し、その都度、適切な覚書を探索しなければならないことも、作業時間を長期化させる要因となっていました。

従来のフローを踏襲している以上、覚書のひな型や類似案件を探す手間、そしてその内容を個別に編集する作業は依然として残ります。金額変更や納期変更など、覚書の種類が多岐にわたるため、毎回イチから探し、確認しなければならないプロセスは、法務担当者にとって大きな時間的・精神的負担となり、日々の業務に忙殺される原因となってしまいます。

(2)人為的ミスの発生リスク

変更覚書の作成時には、契約当事者名、契約締結日、署名欄といった定型的な情報も人の手で記載する必要がありました。この手作業のプロセスは、記載ミスが生じやすいというリスクを常に伴います。作成する度に手入力が求められるため、ヒューマンエラーの発生源となっていました。

手作業での情報入力は、どんなに注意を払ってもヒューマンエラーのリスクを完全に排除することはできません。契約当事者名、契約締結日、効力発生日、署名欄などの定型的な情報であっても、手入力によって記載ミスが生じる可能性は常に存在します。

法務未経験者にとっては、さらに不安が募る要因となるでしょう。これにより、変更覚書の品質にばらつきが生じ、法的なリスクを高める結果にも繋がりかねません。

(3)法務部門の業務負荷

変更覚書は法的文書であるため、その作成依頼は必ず法務部門に届くのが一般的でした。たとえ内容が簡単でシンプルな書面であったとしても、ヒアリング、覚書作成、依頼者への確認、そして修正といった一連のプロセスを経る必要があり、これが法務部門にとっても大きな業務負荷となっていました。

これにより、法務部門は本来注力すべき戦略的な業務に時間を割くことが難しくなるという課題を抱えていました。

変更覚書が法的文書である以上、その作成依頼が法務部門に集中することは避けられません。簡単な内容の覚書であっても、ヒアリングから作成、確認、修正というプロセスが必要となるため、これによって法務部門がボトルネックとなり、業務全体のスピード感を低下させてしまう可能性があります。

この結果として、法務部門は本来注力すべき、より複雑で戦略的な業務に時間を割くことができず、組織全体の成長を阻害する可能性もあります。

ツールを変えずに最大限工夫する方法:現状のツールでもここまでできる

「理想はシステム導入だけど、今すぐには難しい…」

そうお考えの法務担当者の方もいらっしゃるでしょう。Google Driveといった現在ご利用のツールを前提に、運用ルールを見直すことで、一定の効率化を図ることは可能です。ここでは、具体的な工夫をご紹介します。

フォルダ構成・命名ルールの統一

 

後から、最新の変更覚書ひな型や過去案件で使用した変更覚書といったファイルを探しやすくするため、Google Drive等のフォルダ構成とファイル命名規則を統一し、チーム内で徹底することが重要です。

(1) フォルダ構成のルール化

例えば、「案件種別別」「依頼部署別」「年度別」など、自社に合ったルールでフォルダ階層を設計します。「案件管理番号」でフォルダを作成するのも有効です。

(2) ファイル命名規則の明確化

「日付_案件名_相手方_バージョン」のように、誰が見ても内容を推測できる命名規則を定めます。バージョン管理(例:_v1, _v2)も重要です。

(3) 定着のための工夫

ルールをドキュメント化し、チーム内で共有・レビューする機会を設けます。定期的に整理状況を確認することも有効です。

Wチェック体制の構築

 

作成した変更覚書の入力項目について、入力ミスがないかどうかWチェックを行うことが重要です。人間が作業を行う以上、どうしてもミスが発生する可能性がありますので、Wチェック体制を構築することによって、入力ミスを防止することが考えられます。

変更覚書を分類する

 

前述したとおり、変更覚書の作成は常に法務部門によって行われているのが現状でしょう。このような業務フローは、法務部門の確認を経ることとなる点で、リスクの検知に資する側面はあるかと思います。

しかし、このフローでは、常に事業部門等と法務部門等のやりとりが発生しており、相当のコミュニケーションコストが生じていると考えられます。企業規模、事業内容、価値観等によるところではありますが、金額を変更するだけ、数量を変更するだけ、といった単純な変更覚書については、同じコストをかけて進める必要がなく、発注書等と同様に事業部にて作成することが可能であると考えます。

工夫の内容としては、変更覚書を、金額変更や数量変更といった単純で簡単なものと、複雑で難解なものとに分類します。そして、前者については、法務部門があらかじめ用意した変更覚書のひな型を用いて、事業部にて作成することとします。

このような運用を行うと、①の「事業部門等が法務部門等に作成依頼」が「事業部門等が法務部門等に確認依頼」となり、②〜④に費やしているコストをカットすることができます。

従来型フローの問題点/限界:なぜ工夫だけでは足りないのか

先に紹介したような工夫を凝らしても、従来の変更覚書作成フローには、以下のとおり依然として克服が難しい問題点が存在します。

情報の分断と検索非効率:探す時間が最大の無駄

 

ひな型、過去案件、締結済み契約書の情報が様々なツールに散逸し、分断されている場合がよくあります。このような場合は、各ツールを個別に検索しなければならないため多大な時間を要しますし、一つの案件を把握するために複数のツールを確認しなければなりません。

情報が分断されていないとしても、変更覚書を作成する度に、個別に検索しなければならない点は異なるところがありません。

手作業依存による非効率とヒューマンエラーリスク:常に付きまとう不安

 

変更覚書を作成する際のWordへの手動による転記は、Wチェックを行うとしても、リスクを排除できず非効率です。

(1) 単純作業による時間浪費

契約当事者名、契約締結日、署名欄の入力という単純作業に、法務担当者の貴重な時間が奪われます。本来注力すべき高度な法的判断や戦略的な業務にかける時間が圧迫されてしまいます。

(2) ミス・抜け漏れの発生

入力・確認が人間により行われる以上、転記ミス、記入漏れ、書き間違いといったヒューマンエラーを完全になくすことは困難です。

これらのミスが、対応遅延、誤った情報に基づく判断、契約上のリスクにつながる可能性も否定できません。特に、担当者が多忙な時期や、複数の案件を並行して抱えている場合にリスクは高まります。

これらの問題点は、日々の運用改善や個々の担当者の努力だけでは、根本的な解決が難しいと言わざるを得ません。

法務業務のDXを進め、真の効率化とリスク低減、そしてナレッジ活用による組織力向上を実現するためには、案件情報を一元的に管理し、プロセスを自動化できる仕組み、すなわち法務案件管理システムの導入が有効な選択肢となります。

法務オートメーション「OLGA」がもたらす解決策とメリット

これまでに確認した変更覚書作成の一般的な業務フローにおける課題を、法務オートメーション「OLGA」はどのように解決し、みなさまにどのようなメリットを提供するのか、具体的に説明します。

OLGAなら解決できそうだ、と感じていただけることでしょう。

変更覚書作成の作業時間を大幅に短縮

 

OLGAを導入することで、変更覚書作成にかかる作業時間を劇的に短縮できます。

従来の「ひな型や類似案件を探し、ダウンロードして編集する」という手間は一切不要です。OLGAでは、元の契約書の変更内容を入力するだけで、自動で変更覚書を作成します。金額変更や納期変更といった複数種類の変更覚書にも対応しており、操作も直感的で簡単なため、誰でも迷わず作成を進められます。

これにより、依頼者や法務担当者は、変更覚書作成に費やしていた膨大な時間を、より価値のある業務に充てることが可能になります。

変更覚書作成時の人的ミスをゼロに

 

変更覚書作成時のヒューマンエラーは、法務担当者にとって大きな懸念事項です。

OLGAは、この課題を根本から解決します。契約当事者名、契約締結日、効力発生日、署名欄などの定型的な情報は、元の契約書の情報や変更内容の入力情報に基づいて自動で反映されます。

これにより、手入力による記載ミスが大幅に削減され、変更覚書の品質が均一化されます。法的な知識や経験が少ない法務未経験者でも、安心して正確な覚書を作成できるようになり、ミスへの不安が払拭されます。

法務部門のコストを削減し、本来業務に集中

 

OLGAは、法務部門の業務負荷を大幅に軽減し、コスト削減に貢献します。

変更覚書は、変更内容を入力するだけで自動で作成されるため、専門的な知識や経験は不要です。これにより、法務部門に集中していた変更覚書作成の依頼を削減し、簡単な覚書であれば各部門で自ら作成できるようになります。

法務部門は、ヒアリングから作成、確認、修正といった億劫なプロセスから解放され、より高度な法的判断や戦略策定といった、本来注力すべき業務に集中できるようになります。

まとめ:変更覚書作成の自動化と法務業務の効率化を実現するならOLGA

これまで、変更覚書作成における手作業の課題について解説しました。時間と手間がかかる作業ヒューマンエラーのリスク、そして法務部門への業務集中は、事業を推進するうえで大きな障害となっています。

法務オートメーション「OLGA」は、この課題を根本的に解決し、変更覚書作成の作業時間を大幅に短縮し、人的ミスをなくし法務部門のコストを削減します。

OLGAの導入により、法務業務の劇的な効率化が実現し、リスクを低減しながら、蓄積されたナレッジを最大限に活用できるようになります。これまでバラバラに管理されていた情報や業務フローを統合し、単なる業務効率化にとどまらず、「人にしかできない判断」に集中できる仕組みの構築を支援します。現状維持は、非効率とリスクの継続を意味します。

OLGAは、変化の激しいビジネス環境において、法務業務の未来を切り拓く強力なパートナーとなるでしょう。ぜひ、無料体験や資料請求をご検討いただき、OLGAが提供する革新的な法務ソリューションを体感してください。

 

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・この記事の著者・監修情報

山本 俊

GVA TECH株式会社 代表取締役
GVA法律事務所 創業者

山本 俊

弁護士登録後、鳥飼総合法律事務所を経て、2012年にスタートアップとグローバル展開を支援するGVA法律事務所を設立。
2017年1月にGVA TECH株式会社を創業。AI法務アシスタント、法務データ基盤、AI契約レビュー、契約管理機能が搭載されている全社を支える法務OS「OLGA」やオンライン商業登記支援サービス「GVA 法人登記」等のリーガルテックサービスの提供を通じ「法とすべての活動の垣根をなくす」という企業理念の実現を目指す。

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