外資系メガベンチャーの法務舞台裏〜Airbnb×X(旧Twitter)法務責任者対談:世界基準の企業法務と日本での実務対応のリアル〜

(*) 両先生の見解は個人の見解であって、所属組織の見解ではありません。

1. 外資系法務の根底にある価値提供マインド

外資系メガベンチャーでは、法務部門に対して経営陣や事業部から「できる方法を考えてほしい」という要求が日常的に寄せられます。

これは、法務が単なる法律の専門家としてではなく、ビジネスを成功に導くためのパートナーとして認識されていることの表れです。渡部先生は、ソリューションを提示しない法務は価値がないと断言し、日本法ではこうなっているから終わり、という回答は許されないと述べました。

王先生も、Xにおいてアクロバティックとも言える解決策を日々求められている経験を共有。実行可能性が低いアイデアであっても、頭をひねり何かしらの提案を出すことが期待され、そのプロセス自体が重視される文化があることを示唆しました。これは、日本の法務が時に陥りがちな「できない理由」を探す姿勢とは対照的です。

 

2. 「リアルワールドリスク」を見極める眼力と伝え方

外資系法務において特に重要視されるのが、「リアルワールドリスク」の分析です。

渡部先生は、リスクの指摘に留まらず、臨床法務技術であるリーガルリスクマネジメントの枠組みから「リーガルリスクの結果の大きさ ✕ 結果の起こりやすさ」という現実的なリスク分析と、何よりもリーガルリスクの低減策の提案が不可欠であると強調しました。
そのためには、判例や統計データ(犯罪白書など)も調査し、具体的な根拠をもって説明する能力が求められます。

王先生も、同じ「レピュテーションリスク」という言葉でも、文化背景の異なる海外メンバーとは認識がズレる可能性があるため、具体的な事例を交え、解像度高く伝える努力の重要性を指摘。法律論だけでなく、現地の商慣習や社会感情を踏まえたインプットが、ローカル法務の腕の見せ所だと語りました。

 

3. 経営の右腕となる法務へ:CFOに並ぶCLOになるための条件とは

セッションでは、法務のトップであるCLO(Chief Legal Officer)が、CFO(Chief Financial Officer)のように経営の中枢で活躍するためには何が必要かという議論も行われました。

渡部先生は、第一に「専門性」、特に外部弁護士では持ち得ない事業内部の情報(事業計画やキャッシュフロー等)を踏まえた「リアルワールドリスク」を提示できることが唯一の差分になると指摘。

第二に、Airbnbの初期ジェネラルカウンセルのように、経営者から「何を相談しても解決策を出してくれる」という絶対的な信頼を得ることの重要性を挙げました。

王先生は、前職のCFOが弁護士出身だった事例を紹介しつつ、CLOがCFO以上のバリューを会社に提供できると経営陣や投資家から認識されるかどうかが地位向上に繋がると述べ、そのためには問題解決能力を極限まで高める必要があると語りました。

今回のセッションでは、ここでご紹介した内容以外にも、日々の業務で役立つヒントや具体的なエピソードが数多く語られました。より深く、外資系メガベンチャーの法務について知りたい方は、ぜひアーカイブ動画をご覧ください。

▼アーカイブ動画はこちらからご視聴いただけます。
https://gvamanage.com/seminar/startup-legal-conference-08

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