チーム内の情報共有ややり取りの記録に関して抱えていた課題をOLGAの法務データ基盤モジュールで解決できました
株式会社安永様 笠谷様、井上様、岸江様に、OLGAの法務データ基盤モジュール の導入背景や目的、導入後の変化について伺いました。
事例の概要とOLGAの法務データ基盤モジュール導入前後の変化
会社の概要を教えてください
笠谷様:
当社は自動車関連部品や産業機械向けの部品を製造・販売しているメーカーです。
1923年に農機具などを製造する安永鉄工所として創業し、その後、1949年に家庭用ミシンアームベッドの生産に事業を転換、現在は自動車や産業機械のエンジン部品を中心に工作機械、ワイヤソー、検査測定装置、エアポンプを製造し、国内外の各メーカー等に販売しています。
国内では三重県伊賀市の本社・工場をはじめ、伊賀地域に5工場、東京に1拠点、海外でもインドネシア・タイ・中国・アメリカ・メキシコにグループ会社を置き、グローバル展開しています。
グループの売上高は2024年3月期で約319億円。うち約8割はエンジン部品が占めています。
また、2011年からは新事業創造に向けた取り組みを強化するとともに、2023年度は「グローバルニッチNo.1」の柱を増やすをスローガンとして事業を展開しています。
法務体制や業務内容を教えて下さい
笠谷様:
私たちは「経営企画グループ」という組織に所属しており、その中の法務部門という位置づけになります。法務部門自体が近年立ち上がった組織となっており、法務組織の設立前は各部署内の担当者が契約書をチェックするという体制でした。法務の機能を集約するという方針のため、2023年の4月に、従来の知財部門の機能を広げる形で3名体制の法務が組織として発足しました。その後、2024年2月に組織変更があり、広報・IRや経営管理の機能をもつ経営企画の一部として法務と知財が加わり、「経営企画グループ」という形になりました。
人員の割り振りとしては、経営企画グループの責任者が1名、グループ内の「法務知財チーム」のメンバーが2名おります。加えて、経営企画グループの上に「経営企画部」という組織があり、私はそこに所属し、法務部門を管轄しています。
また経営企画グループとしてはもう1名、広報などの法務・知財以外の業務を担うメンバーがおります。
業務内容と案件数については、契約審査と法務相談を合わせて、平均で月に10件程度です。
OLGAの法務データ基盤モジュール導入以前の状況や課題を教えて下さい
笠谷様:
当時は法務部門を立ち上げたものの、法務分野を専任できる人間がおらず、知財や経営企画など、他の業務との兼務という状況でした。また、それまで担当者ベースで案件情報を管理していたものを組織として管理できるようにするため、いわゆるファイルサーバー等で案件ごとに採番をし、メールのやりとりなども含めフォルダに保存していました。
課題としては、管理作業が基本的に各人の手作業により行われていたため、漏れなどがあった際に情報が不十分になってしまうということが発生していました。そのため、チームで仕事をするにあたっての情報共有に難があり、不足している情報を補填しようとして、遡ってデータを保存するというような手戻りが多く発生していました。
また教育という面で、チーム内の2名が法務業務が未経験だったのですが、案件をこなしていけばある程度の知識は身に着くのですが、実際に使える知識となると法務部門内の、どのような意図で、またどのような基準や視点で依頼者に回答したか、というプロセスを理解することが大事になると思うのですが、部内ですと口頭で伝えるに留まることも多々あり、記録として残していくことができていませんでした。
OLGAの法務データ基盤モジュールを知ったきっかけを教えてください
井上様:
OLGAの法務データ基盤モジュールを初めて知ったのは「すごい知財EXPO 2023」だったと思います。EXPO内では特にお話を伺った記憶はないのですが、何となく頭に残りました。そのあと、電話をいただいたと記憶しています。
笠谷様:
当時は法務や知財の分野で営業の電話があったら、とりあえず来るもの拒まずで話を聞いてみようと思っていました。 OLGAの法務データ基盤モジュールのことを元々知っていた訳ではなかったんですけれども、まずは話を聞いてみようとなりました。
今まで様々なサービスの紹介を受けてきたこともあり、正直申し上げますと「今までと似たようなサービスだな」という印象を受けることが多いのですが、OLGAの法務データ基盤モジュールの説明を受けた際には、「これは来たな」という感じでした。
話を聞いて、最も印象に残ったのはどんなところでしたか?
笠谷様:
当時、他者のサービスでも契約審査や文書管理のサービスの存在は認識しており、また知財方面で「マターマネジメント」というのを少し聞いたことはあったのですが、法務領域においてマターマネジメントのサービスを提供されている、というところが私にとってはすごく印象に残りました。また、依頼者側のIDがいらないというところも当社にマッチしそうだったので印象に残りました。
その後、実際にトライアルをした際の印象はどうでしたか?
井上様:
最初に、依頼フォームがとても便利で魅力的だと思いました。メールだと依頼者によって記入内容がまちまちだったりするため、そこを統一できるというのが良いと感じました。
笠谷様:
依頼フォームは非常に効果的ですね。また、依頼フォーム1つとってもどう設定したら入力してもらいやすくなるかについて御社からアドバイスをいただけて、トライアルの段階から試行錯誤できました。利用してみた結果はやはり使いやすく、実際に導入したら非常に業務が進めやすくなるだろうなと期待を持つことができました。
他には画面の構成も見やすくて、チームのアサイン状況がわかりやすく整理されていると感じました。将来的にさらに案件が増えた際、もしくは担当メンバーが入れ替わった際でも、チームとしてマネジメントがしやすくなる状況が画面からイメージできました。管理する側の視点で見た時に、ダッシュボードで見える化できる点はすごく魅力的でした。
OLGAの法務データ基盤モジュールを導入した際の方法や流れを教えてください。
笠谷様:
セキュリティ関連の情報などを事前にいただいていたこともあり、情報システム部門の審査はスムーズにクリアできました。
経営企画部から全社に対しては、弊社の場合はイントラが無く、職制を通じて情報を発信していくという流れです。そのため、各部署の責任者に対して、メールでサービス導入についての依頼文を展開しました。
事業部からの反応はどうでしたか?
笠谷様:
実際にはよく依頼していただく部署にはトライアルの時点で触ってもらっていたので、逆に「ようやく始まったの」と言ってくださる方もいらっしゃいました。
一方で、契約を扱う部署は限られているものの、通知は全ての部署に対して行ったため、反応のない部門も当然ありましたし、そもそも契約依頼という業務自体を認識されていない製造現場の部長さんなどから「これはどういう意味で、何が変わるのか」といったような質問を受けたりはしました。ただし、「なんでこんなの始めたの」というような反発などは1つもありませんでした。
特に営業部門では、新規の取引先と契約を締結することが多いです。その際に、相手方の責任者である捺印者に対して、該当の契約書が法務の審査済みであることを証明するために、法務とのメールの履歴を見せたり、確認してもらったやり取りを説明したりする必要がありました。
しかし、OLGAの法務データ基盤モジュールを導入してからは「法務から回答が届きました」という旨のメールを印刷して添付すれば済むため、とても楽になったようです。要するに、捺印手続き等の契約審査後に必要な手続きのエビデンスとして、メールがそのまま利用できるため、負担が軽減したというコメントを実際にもらっています。
導入にあたってトラブルや上手く行かなかったことなどはありましたか?
笠谷様:
数は多くないですけれども、メール一発で周知してしまったために、逆に今までやっていなかった契約書チェックの必要性に気がついた部門で急に担当になられた方などがおり、そういった方は依頼フォームを通すことを知らず、二度手間をかけさせてしまったケースはありました。
ただ、事業部の方々が素直に協力してくださっているのが非常にありがたいところです。導入の際の案内文で、「何のために依頼を統一したのか」という点を最初に周知できたところが大きかったと思います。 我々が手間を省きたいということではなく、会社として案件管理をレベルアップしたい、そのために協力してください、というスタンスでした。正しく理解していただけたら協力していただけると思うので、自然の流れだったかなと思っています。
特に実感している導入効果があれば教えてください
笠谷様:
担当者が限られている中で、特定の誰かに対しての依頼ということではなく、チームとして依頼案件を受ける、という感覚が持てるようになったと感じています。メールだとtoとccというように分かれてしまいますよね。担当者がアサインされるまではチームとして案件を受付しているので、受付の部分に関しての属人性が解消されると思います。期待通りの効果が得られていると感じています。
案件に対応することで貯まったナレッジは活用されていますか?
笠谷様:
正直まだうまく使いきれてないところもあるのですが、完了案件に関して、依頼者側が契約締結先とのやり取りを重ねた中で再度修正が来たような場合、完了案件から復活し、1つの案件として扱うことができる点が非常に良いと思います。
過去の案件を貯めていてよかったと感じるのは、類似案件に対応する際や、過去の参考資料を見直す際、過去にどういうやり取りをしたのかまでしっかり残っていることです。まだ始めて数ヶ月ですが、3年後くらいには大きな財産になっていると思います。
依頼状況について、何か変化を実感していることはありますか?
井上様:
これまでは決まった人が笠谷宛に依頼することが多かったのですが、現在はOLGAの法務データ基盤モジュールのフォームを通して様々な方が依頼してくるようになりました。おそらく、依頼自体がしやすくなったのではないかと考えています。
笠谷様:
そうですね。私のような役職者に対してメールを送ることがハードルになってしまう人がいるというのも事実で依頼フォームを設けておくことで担当する人の職制・立場や「忙しいだろうから」と躊躇することなく、必要な際に依頼してもらえる環境が整いました。
今までは「これから相談してもいいですか」というような事前の相談があったりしたのですが、それがなくなって、ダイレクトにフォームから依頼が入ってくるようになったのはすごく印象的です。
もう1つは、メールだとやはり「お疲れ様です」などの挨拶から入りますが、依頼フォームだと必要な情報だけを入力すれば良いので、無駄な悩みがなくなったんじゃないかなと思っています。
OLGAの法務データ基盤モジュールで気に入っている機能はありますか?
井上様:
依頼フォームは、編集してもURLが変わらないので補足文を自由に書き足したりできるのがすごくありがたいなと思います。
笠谷様:
依頼フォームのURLを固定したままで内容をどんどん編集でき、変えても依頼者は気づかないというのがとても良いです。
キーワードとして、「マニュアルフリー」というのも1つあります。補足を追記できることで、依頼者にマニュアル無しで利用してもらえることもサービスのいいところだなと感じます。
注意書きに関しても、意図したものとは違う受け取り方をされることもあるのですが、気づいた際にすぐに編集できるため、いわゆるPDCAみたいなものが、すごく早く回ります。
井上様:
やり取りの記録を残すのが楽になったことも嬉しいです。さらに、部署内だけで共有したいことが出てきた際に、部署内用のチームチャットと依頼者チャットを分けて管理することができて、非常に便利だと感じています。
また、依頼者から電話で補足のコメントがあったときに、チームチャットに電話の内容を記入して、伝言のように利用できるのも大変助かります。
笠谷様:
チームチャットと依頼者チャットの使い分けは、いちいちメールで送信先を変えなくても良いので本当に便利ですよね。スレッドが分かれるわけでもなく、1つの案件として2つのチャットが内包されているというのがすごく使いやすいです。
岸江様:
主に契約審査の進捗などをやり取りするのにチームチャットを利用しているのですが、コミュニケーションを取りながら業務を進めるのに役立っています。
OLGAの法務データ基盤モジュールに対する今後の期待
井上様:
以前の打ち合わせでも話が出たかと思いますが、依頼フォームの注意書きの箇所について、案件の受付種別ごとに自由に書けると嬉しいなと思います。
今は契約書受付と法務相談しか設定していないのですが、法務だけではなく知財の業務も並行してやっているため、知財の相談受付もOLGAの法務データ基盤モジュールで出来たら良いなと思っています。
法務については非常に依頼しやすくなったので、今後はその依頼しやすさを活かして受付の領域を広げていきたいと考えています。
笠谷様:
マターマネジメントの視点で見たときに、我々としては法務領域のみでなく知財と特許の案件、具体的には発明届などの提出というような応用も検討してしいます。
当社の状況としては法務領域以外の部分で、より汎用的なマターマネジメントとして展開していくことを期待します。