ラクスル株式会社
2025.03.17
事業内容: 印刷・広告事業など
ステータス管理やSlack連携に関して抱えていた課題をOLGAの法務データ基盤モジュールで解決できました

法務コンプライアンス統括部
・統括部長/執行役員 グループCLO 三ヶ野 吾郎 様
・法務グループマネージャー 須藤 大 様
・法務グループ 村山 友理 様
・法務グループ 畠山 昭一 様
ラクスル株式会社様 三ヶ野様、須藤様、村山様、畠山様に、OLGAの法務データ基盤モジュール の導入背景や目的、導入後の変化について伺いました。
事例の概要とOLGAの法務データ基盤モジュール導入前後の変化


会社や事業の概要を教えてください
三ヶ野様:
弊社はもともと印刷ソリューションの領域で事業を展開しており、インターネットを通じて印刷を受注し、提携するパートナー企業に依頼する形で、印刷を広く提供するプラットフォームを構築しています。これまで、事業の拡大を進めており、「ハコベル」や「ノバセル」など、新たな事業も展開して参りました。
「ハコベル」は物流のプラットフォーム、「ノバセル」もマーケティングプラットフォームを提供しており、同じようなビジネスモデルを物流業、広告業に展開しています。
印刷業についても紙やチラシへの印刷にとどまらず、バリエーションを増やし、トートバッグやタンブラー等のノベルティ、Tシャツやパーカー等のウェア・アパレルへの印刷にも対応しており、幅広い製品群を扱っています。
また、M&Aを通じた事業領域の拡大も行っており、印刷業以外にもダンボール通販の「ダンボールワン」などをグループに迎え、印刷と梱包材を組み合わせた事業も展開しています。印刷の受注を基盤としつつ、様々な業種へと展開し、モノの販売も含め広範な領域で事業を進めております。
今後は、金融プラットフォームにも注力していきます。もともと印刷をご依頼いただく中小企業様に対して、印刷以外の面でもサポートさせていただきたいという思いで、「ノバセル」のマーケティング施策などをご提供しておりますが、さらに金融面でもご支援できる体制を整えていきたいと考えています。
貴社の法務体制と具体的な業務内容について教えてください
三ヶ野様:
会社によって法務のサポート範囲は異なると思いますが、当社は非常に幅広く対応していると思います。具体的には、事業法務と呼ばれる契約書やトラブル対応はもちろん、登記手続きや株主総会・取締役会の運営といったコーポレート法務、特許・商標の出願や調査といった知財法務も担当しています。それに加えて、コンプライアンスやESG、サステナビリティに関連する経営法務、さらにはM&Aに関わる戦略法務など、幅広く対応しています。
契約や訴訟対応のみを行う企業さんが多いかと思いますが、当社では経営会議や取締役会に積極的に法務も参加するなど、法務のプレゼンスが高い会社です。また、コンプライアンスやガバナンスの強化も重視しており、それらの分野においても法務の役割が大きく求められます。加えて、当社は上場企業であるため、金商法における開示を意識した法務対応も多く求められています。
現在、グループ会社も含めて法務は8名体制で、全員が幅広い業務を担当しています。例えば、「私は事業法務のみ」「私はコーポレート法務のみ」といった専門分野を限定した担当者はおらず、多様な業務を兼務しており、会社や事業部に対して一気通貫で総合的にサポートできる法務体制を整えています。

OLGAの法務データ基盤モジュール導入前に抱えていた課題について教えてください
畠山様:
毎月多くの案件が上がってくる中で、ステータス管理が非常に難しかったのが大きな課題でした。
例えば、自分が対応した案件に対して返事が来ているかどうかを毎朝確認するために、各メンバーがそれぞれの案件を開いて確認し、動いていない案件や返事が来ている案件を探すのに1日トータルで30分から1時間かかる、という状態でした。
そこをタイムロスなく双方の認識を合わせられるツールを探していたんです。その過程で、案件管理システムでDX化しようという考えに至りました。
三ヶ野様:
畠山さんのおっしゃるとおり、ステータス管理が手動で行われていたことが課題でした。事業部からの連絡が来れば自動でステータスが変わってほしいのですが、連絡が来たかどうかはシステムを一つずつ開いて確認しなければなりませんでした。
それぞれの法務担当が1ヶ月に30件から50件ほどの案件を抱えており、それが蓄積して60件や70件になることもあります。その全てを1件ずつ確認すると、1件にかかる時間はわずかとはいえ、トータルにすると1時間以上かかるというのは、非常に非効率でした。一方で、当初使っていたのは全社で利用している汎用的な申請システムということもあり、コストがかなり抑えられている点などから、社内では利用を継続してほしいというニーズもあったため悩んでいました。
もう1つ、Slackとの連携に課題を感じていました。OLGAの法務データ基盤モジュールのように事業部とのやりとりと案件情報の蓄積を一気通貫で行うことができればよいのですが、以前は、申請システムで依頼した後、実際のやりとりはSlackで行われている状況でした。そのため、申請システムにはSlackのやりとりの記録が自動では残らない点が課題でした。
必要に応じてSlackでのやり取りを申請システムに転記するなどの努力はしていましたが、法務としては常に申請システムとSlackを両方開いて作業しなければならず、結局二重管理になっていたんです。記録の保管や実務上の煩雑さの観点からも二重管理はコストがかかり、効率が良くないという認識でした。
OLGAの法務データ基盤モジュール導入前の受付や管理の状況について、詳細を教えてください
畠山様:
Slackや申請システムを利用していましたが、案件情報が分散してしまうため、できる限り申請システムに一元化しようと頑張っていました。
ただ、細かなリクエストに関しては、Slackでのやりとりが多く、また、秘匿性の高い案件に関してはアクセス管理の観点から申請システムで依頼しないというケースもあり、SlackのDM機能や別のチャンネルを利用して案件を管理することもありました。
三ヶ野様:
一人で完結できる案件であれば問題ないのですが、そうでない場合は「誰がどのようにOKを出したのか」といった情報がSlackにしか残らず、法務担当者も各案件につき一人しか登録できないため、管理面で経緯が申請システムには記録できない点が気になっていました。
須藤様:
申請システムにもSlackに連動して通知が来る仕組みではあったのですが、例えば私の場合、法務担当とセキュリティ担当としての案件が混在しており、どちらの案件について通知が来たのかが非常に分かりづらく困っていました。通知自体は来ているのですが、その詳細や内容を把握するためには、結局申請システムを開いて確認しなければならなかったため、手間がかかっていました。
三ヶ野様:
通知も、まるで個人で使っているスマホのお知らせ通知のように大量に届くため、見逃してしまうことが多かったですね。読むべき必要な通知は来ているのですが、読んだ方がいいが必須とまではいえない通知も大量に来ているため、多数のなかから本当に必要な通知を探すとなると、母数が多すぎて対応しきれないというのが実情でした。
OLGAの法務データ基盤モジュールを知ったきっかけを教えてください
畠山様:
OLGAの法務データ基盤モジュールができたばかりの頃に、前の法務担当者に一度ご提案をいただきました。その際、費用や機能面で良い印象はあったのですが、当時の費用の優先順位や、運用に合うかという点で課題があり、「1、2年後に再検討しよう」という形で保留していました。法務内では、OLGAの法務データ基盤モジュールという案件管理ツールがあることは知っており、再び検討する機会を待っている状況でした。
その後、法務の責任者が三ヶ野さんに変わり、体制を改めて見直す中で「このままでは厳しい」という共通認識が生まれました。特に、メンバーから「毎朝30分から1時間、案件確認の時間が必要」と話があがり、これをコストとして計算すると、労働時間からも導入のメリットがあると考えました。
三ヶ野様:
法務全員で集まって、リーガルテックのカオスマップを見直しながら、どの部分は既に導入していて、どの機能についてリーガルテックを活用することが必要かを話し合う機会がありました。案件管理システムについても、現状のままで良いのかと検討を行った結果、OLGAの法務データ基盤モジュールを再び検討する流れになりました。
弊社は、「仕組みで解決する」というコンセプトを大事にしているのですが、OLGAの法務データ基盤モジュールの仕組みを使うことで、皆の確認作業の時間を削減し、より付加価値の高い法務の専門性を活かした議論に時間を使えたら良いのではないかと思いました。

OLGAの法務データ基盤モジュールの導入はどのように進められましたか
三ヶ野様:
導入前にフィージビリティスタディを行いました。その際、もちろん「本当に大丈夫か」という懸念もなくはなかったのですが、導入を試行する中で、メンバーから「これは便利なので元の仕組みには戻したくない」という意見が多くあり、また、導入の是非のプロコンを比較するようなロジカルな議論もあるのですが、加えて、各法務担当者の「ムード」「表情」にも、導入してほしいという切なる願いがあふれていました。社内導入に向け様々な課題もありましたが、業務効率の向上や事業部・法務部の働きやすさの向上を考えた際に、それを上回るメリットがあると判断し、導入を決定しました。
他社のサービスとも比較されましたか?
畠山様:
はい、他社の案件管理システムもいくつか検討しましたが、今後の人員増加を考慮し、コストの上昇を抑えられるシステムが望ましいという点が重要でした。
OLGAの法務データ基盤モジュールの場合は、Slackとの連携や依頼者はアカウントなしでも使用可能という点もあり、組織拡大時に費用が急増しないところが大きな利点でした。
導入後は、どのように依頼を受け付けていますか?
畠山様:
基本的には大きな変更はしていません。むしろ事業部からみて「既存の運用フローを変えなくて済むツールは何か」という点が導入ポイントでした。
法務の都合でツールを変え、事業部に運用フローを変更させるのは、事業部にとって価値がある場合は良いのですが、単に「自社システムからOLGAの法務データ基盤モジュールに変わりました」というだけではあまり意味がないと考えました。そのため、従来の流れを極力そのまま維持できるように工夫しています。
申請システムで行っていた依頼受付は、基本的にはすべてOLGAの法務データ基盤モジュールに移行できました。また、Slackで管理していた案件もOLGAの法務データ基盤モジュールに入るようになり、一元化できる範囲は広がったかなと感じています。従来のシステムも幅広く対応はしていましたが、OLGAの法務データ基盤モジュールの方が使いやすく、法務への相談障壁が下がり、相談依頼が入りやすくなった印象です。
事業部への展開はどのようにされましたか?
畠山様:
まず、全体で500人以上の社内の従業員に影響を与えるシステムの導入ということもあり、慎重に進めました。子会社も含めるとさらに人数が増えますので、まずは依頼を多くもらっている事業部の方数名に、デモ環境を見せて「どう思うか」と率直な意見を聞きながら進めていきました。また、最近M&Aを通じて当社グループに参画いただいた子会社があったため、その会社で試験的に展開を行い、フィードバックを収集しました。その結果を踏まえ、ラクスル全体に段階的に導入することで、リスクを最小限に抑えました。
事業部の方、依頼者側の方の反応はいかがでしたか?
畠山様:
ある子会社の担当者で特に依頼が多い方にデモを見せた際、「非常に使いやすいですね」と高評価をもらいました。このフィードバックで手応えを感じ、実際に導入した結果、法務からのレスポンスが格段に速くなったとの評価を得ています。定着には少し時間がかかりましたが、単なる法務都合のシステム変更に留まらず、事業部にとっても価値ある切り替えができたと感じています。
村山様:
最近、事業部の担当者とのやりとりでは、Slackで応答できる点が非常に好評です。日常業務でSlackをメインのコミュニケーションツールとして使用しているため、Slack上で完結できるのは大きな利点で、導入からそれほど時間が経っていないにも関わらず、既に「OLGAでやればいいですね」と日常的に使われ始めており、浸透を実感しています。
須藤様:
従来の申請システムに比べて、申請フォームのカスタマイズが細かく設定できる点が依頼者の使いやすさにも繋がっていると思います。また、申請後の処理も可視化され、自分の担当案件が明確に把握できるため、コミュニケーションの効率が向上し、応答速度も上がっていると感じています。事業部にとっても、案件状況が分かりやすくなり、やりとりがスムーズになっています。
畠山様:
依頼者アカウントを使っている方からは、「使いやすくなった」という意見とともにOLGAの法務データ基盤モジュール上でメンション機能が欲しいという声が出てきています。期待が高まっているのは、非常にポジティブな兆候ですね。

実際に導入いただいて、抱えていた課題は解決されましたか?
村山様:
はい、一覧画面から「今日やるべきこと」が一目で分かるようになり、コメントが来ているものについては通知の赤いランプで確認できるため、効率が大幅に向上しました。
また、OLGAの法務データ基盤モジュール導入前は、申請システムを介して依頼者とやり取りし、法務内で相談するときはまた別のツールにドラフトをアップしてコメントをもらい、チェックが完了したら申請システムに戻す作業が必要で手間がかかっていました。今ではOLGAの法務データ基盤モジュール上で案件を管理するだけで、法務内でもデータを共有して、チェックした履歴も残すことができ、そのまま依頼者に返すという一連の流れが一つのツールで完結するため、大変効率化されました。
OLGAの法務データ基盤モジュールを導入したメリットや、効果を感じている点があれば教えてください
畠山様:
案件を法務内で共同で検討する際、例えばまず私と須藤さんで検討する中で、途中で「これは村山さんの方が詳しいのでは?」となった際に、OLGA内で村山さんにも連絡するといった形で、スムーズに他の法務担当を議論に追加できる点が非常に便利です。不要になればすぐ外せるため、効率よく協力体制を築けます。Slackのスレッドで共有したり、チャンネルに招待する方法では、こうしたフレキシブルな対応が難しかったので、導入してからありがたみを感じています。
三ヶ野様:
もう一つ意外な利点として、分析ダッシュボードが非常に役立っています。
これまでの申請システムには集計表示の仕組みはなく、データを抽出して関数を組んで分析していたのが、今では自動で整理され、担当者別や案件種類別で集計結果を確認できて便利です。このダッシュボードを活用することで、リソースの過剰投入や効率化についての判断がしやすくなり、まだ数ヶ月の利用ですが、早くも管理者として大変助かっています。
OLGAの法務データ基盤モジュールのお気に入り機能があれば教えてください
畠山様:
案件一覧の表示が特に便利だと感じています。例えば、案件数の表示が分かりやすく、同僚がどの程度の案件を抱えているかが一目で分かります。当社は10月に株主総会があるため、9月~10月頃は株主総会の業務で忙しいメンバーも多いのですが、その際、株主総会に関わってない余裕のあるメンバーが「自分がこの案件を手伝おう」という流れを作りやすかったです。
三ヶ野様:
確かにインターフェースが分かりやすく、一覧で見られるのは便利ですね。例えば「畠山さんが何件、須藤さんが何件」といった案件数が一目で把握でき、過度な負担がかかっていないかを視覚的に確認できますね。
これはまさにラクスルの働き方として大事にしている「トランスペアレンシー(透明性)」の実現にもつながるかと思います。全員が全体の状況を把握できれば、理不尽な負担がなく、各自の負担感を平等に分担できますね。
村山様:
契約書を登録する際、業務委託契約やNDAなどの契約種類や自社のひな形か他社のひな形かなどを分類できるため、分析に役立ちます。こうしたカスタマイズ機能で後から分析ができる点も、OLGAの法務データ基盤モジュールの利点だと思います。
OLGAの法務データ基盤モジュールに今後期待していることがあれば教えてください
三ヶ野様:
現状にはかなり満足していますが、将来的な改善としては、AIとの連携を期待しています。例えば、契約書を扱う際に、修正点の提案をOLGAの法務データ基盤モジュール内で確認できると、さらに便利だと思います。将来的には文脈も考慮して、最適な提案をしてくれると理想ですね。加えて、OLGAの法務データ基盤モジュール内で、法令関連の相談をAIで簡単に確認できるとより助かります。
須藤様:
他のデータベースとの連携や決裁を含むワークフローとの連携も可能になると、より効率的に運用ができ、便利だと思います。

他の法務の方、OLGAの法務データ基盤モジュールを検討中の方に向けてメッセージをお願いします
三ヶ野様:
昔みたいに努力すればとか、夜中まで頑張ればとか根性論で何とかなる時代ではないかなと。危機管理の文脈や社運を賭けたM&Aの場合などでは、それらももちろんすごく大事な場面もありますが、令和の法務パーソンとしては、法務業務の中で、単純作業を減らし、AIでは解決できないようなより専門性の高い仕事に集中することや、本質的な意味での事業への貢献が、より重要になってきていると感じています。
OLGAの法務データ基盤モジュールの導入で、法務部門として、本質的な業務に時間を使えるようになると感じているので、導入をおすすめします。ツールを活用して効率的に業務を進め、ぜひ日本全体の法務パーソンの付加価値の向上を目指していきましょう。